NTT DATAThink Daily

  • 地球リポート
  • 地球ニュース
  • 緊急支援
  • 告知板
  • Think Dailyとは

地球ニュース

RSSrss

Business

オランダ発「フェアな携帯」がいよいよ年末に登場!

2013.12.19 宮原 桃子

Fairphone Prototype:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Fairphone

誰もが当たり前のように使っている携帯電話。2013年は世界で約18億台以上の出荷が推計され(出所:米IDC)、その製造・流通にあたっては、莫大なお金と資源が費やされています。その製造工程は、果たしてフェアに行われているのでしょうか?

今月、フェアトレード認証ラベル発祥の地であるオランダから、業界で初めての試みとも言える「フェアな携帯」が登場します。2010年よりプロジェクトを開始し、2013年に創業されたFairphone(フェアフォン)社が発売するのは、Android 4.2 (Jelly Bean)をOSとするスマートフォン。価格は325ユーロ(約4万6000円)。今年5月に事前予約を開始した2万5000台は完売し、その第一陣が年末に届けられるということです(現時点で、ヨーロッパ域内のみの販売)。

携帯電話の部品には、レアメタルを含むさまざまな鉱物が使用されています。同社によれば、これら鉱物の中でも特に「スズ、タンタル、タングステン、金」は、その多くが採掘されるアフリカのコンゴ民主共和国において、紛争の資金源となっていることが多いそうです。また、鉱物の採掘現場では、低賃金労働や劣悪な労働環境、土壌や水の汚染などの問題も指摘されています。フェアフォンでは、人や環境に配慮した原材料を調達することを理念とし、コンフリクト・フリーな(紛争の資金源とならない)鉱物を使用しています。同社は、「Conflict-Free Tin Initiative(紛争の資金源とならないスズを推進するイニシアチブ)」のメンバーになるなど、積極的な活動を行っています。

同社は可能な限り再利用できる原材料を使用しており、最終目標は「完全にリサイクルできる携帯電話」だということです。また、携帯電話のあらゆる製造工程においても(製造工場は中国)、賃金や労働時間、安全性などの労働環境に配慮しています。設計やデザイン、価格構成なども、可能な限りオープンにしています。同社は、「私たちの製品はまだ完全にフェアと言えるまでには至っていませんが、これはフェアな仕組みの始まりなのです」とコメントしており、今後もよりフェアな製品を作ることに力を尽くすという情熱とパワーを感じました。

フェアトレードと言えば、チョコレートやコーヒー、洋服などの商品が連想されますが、このフェアフォンのようにあらゆる製品に関して、フェアトレードやエシカルな生産が求められているはずです。同社のメッセージは、「この携帯電話を買えば、あなたも世界を変えられる」。同社の試みが、世界に広まる日は近いはずです。



関連するURL/媒体

Bookmark and Share

Thinkテーマ別に読む

Business, Technology

このニュースの地域

オランダ (ヨーロッパ/ロシア

宮原 桃子