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Energy

海藻がバイオ燃料の救世主になる?

2010.07.29 奥山 賢治

Common Kelp:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by richard ling

生物由来のバイオ燃料が注目される近年。しかしその一方で、原料としてトウモロコシや大豆などの穀物類が利用されることが、食料価格の高騰につながる懸念も...。

この度、東北大大学院農学研究科の研究グループと東北電力とで共同開発されたのが、褐藻類からバイオ燃料を効率良く生産する新技術。まず、小さく切ったコンブなどの褐藻類に酵素を加えて混ぜ合わせて、液状化。さらに微生物を数種類加え、不要成分を分解。約2週間で、同研究グループは乾燥させた褐藻類1キロから約200ミリリットルのエタノールを生成できたそうです。

この新技術は褐藻類以外の海藻にも応用ができます。乾燥させたり、粉砕したりといった工程をはぶくことができるため、陸上植物からバイオ燃料を生産するより、消費エネルギーを抑えられる利点もあるとか。世界の沿岸海域に多く生息する褐藻類。その生産量は熱帯雨林に匹敵すると言われるほどで、さらに褐藻類は食料との競合が少ない上、化学薬品を使わず、酵素や微生物からエタノール生産ができるのです。

東北電力仙台火力発電所では、年間最大約300トンの海藻が冷却水の取水口に流れ込んでいたそうです。今まで海藻は一般廃棄物として処理されてきましたが、この新技術が実用化すれば、海藻から得られるバイオ燃料を発電所で活用できるというわけです。

海藻が食料価格を高騰させない、新しいバイオ燃料として、世界各国のエネルギー問題の解消、そして二酸化炭素排出量の抑制にも大いに貢献してくれそうですね。



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奥山 賢治