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余ったプレッツェルで作ったお酒で乾杯!? 独オクトーバーフェスト

2013.10.01 河内 秀子

巨大プレッツェルとオクトーバーフェスト定番の1リットルジョッキ! photo by Hideko Kawachi

南ドイツ、バイエルン州の州都ミュンヘンで開催されている世界最大のビール祭り、オクトーバーフェスト。180回目の開催となる今年は9月21日から10月6日まで開催され、世界中から700万人近くの人がおいしいビールを飲み、笑い、歌い踊って楽しい時を過ごすためにフェスティバル会場のテントを目指してやってきます。公式発表によれば、2011年に会場で飲まれたビールは750万リットル! オクトーバーフェストのビールに欠かせない定番料理、鶏の丸焼きは52万2821羽というから、驚きます。

そして、もうひとつ忘れてはならないビールのお供が、プレッツェル。もともとは胸の前で腕を交差した子どもを表したものだったという、ハートのような独特の形をしたパンはアルカリ液に漬けてから塩をまぶして焼きあげるので、香ばしくもっちりした歯ごたえで、強い塩気があってビールにぴったり。オクトーバーフェストに限らず、ビール自慢の居酒屋やビアガーデンには必ずある人気のおつまみです。

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Oktoberfest 2007:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Diego Wyllie


このプレッツェルを使って、ビールではなく蒸留酒を作ってしまったパン屋さんがいます。バイエルン州でオーガニックパン店を営むニコデムス・ゴットシャラーさんです。15世紀からのパン作りの伝統を持つゴットシャラー農場で1994年に創業したゴットシャラーさんは、100%オーガニックの素材や薪窯を使っておいしいパン作りに工夫を凝らしていました。「でも、こうやって精魂込めて作ったおいしいパンを毎日捨てなければいけなくて...」とゴットシャラーさんは言います。「新鮮、焼きたてのパンが食べたい!」という消費者の希望をかなえるためには店頭に毎日焼きたてのパンを並べなければいけない。オーガニックのパン、特にサワー種や雑穀を使ったどっしりしたドイツパンは1週間以上もそのおいしさを保つのに、廃棄処分しなければならないというジレンマに悩んでいたと言います。こうやって廃棄されてしまうパンは、ドイツ全国で年間60万トンにものぼるそう 。

ホームレスの救済施設に送られたり、近年ではバイオガスの原料にされたりもするものの、その多くがまだ食べられるにもかかわらずゴミとして処分されてしまうのが現状です。「世界で最も美味しいパンが、売れ残ってしまったら?」とゴットシャラーさんは考えました。「捨てないで、楽しめるものにしまえばいいんだ」と。彼のアイデアは、このパンの残りを砕き、それを原料としてシュナップスと呼ばれる蒸留酒を作ること。

1年近くの試行錯誤を経て、昨年末、ついにシュナップスが完成。マイルドな白パンと、スパイシーな穀物の香りが楽しめる全粒粉パンのシュナップスの2種類。1キロの古いパンが約200ミリリットルのシュナップスに生まれ変わりました。インターネットでの販売のほか、近隣のオーガニックスーパーなどでも販売されるように。大手オーガニックスーパーチェーンでも販売が予定されているとか。

そしてついに、今年のオクトーバーフェストに時期を合わせ、プレッツェルでつくったシュナップスが完成。さて、その気になるお味は...? ビールと一緒に、飲みたくなるような味なのでしょうか? 残念ながらプレッツェル製のシュナップスはまだインターネットでの販売はないようですが、近々、オクトーバーフェストでビールと一緒にプレッツェルのシュナップスを楽しむのが定番になる日が、来るのかもしれません。



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河内 秀子