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Peace

平和の重みを突きつける「武器をアートに」展

2013.10.08 平澤 直子

自転車に乗る家族をモチーフにした「いのちの輪だち」を組み立てる制作者の クリストヴァオ・カニャヴァート"ケスター"(左)とフィエル・ドス・サントス(右)
写真提供:えひめグローバルネットワーク

アフリカ南東部、モザンビーク。長く内戦が続き、内戦終結後20年以上たった今でも大量の武器が民間に残るこの国で、生活用材と交換することで武器を回収し、回収した武器からいすなどのオブジェを作るプロジェクトが行われています。そのオブジェを見ることができる「武器をアートに―モザンビークにおける平和構築」展が、国立民族学博物館(大阪府吹田市)で開催中です(11月5日まで)。

このプロジェクトは「銃を鍬(すき)に(TAE:Transforming Arms into Plowshares)」と言い、農具や自転車などと交換に武器を回収し、武装解除を進めるというものです。モザンビーク・キリスト教評議会(Christian Council of Mozambique)が中心となり内戦終結3年後の1995年に始まりました。活動には日本のNPOえひめグローバルネットワークも参加。同団体が事務所を構える松山市の放置自転車を交換用に送るなどのサポートをしてきました。同団体代表理事の竹内よし子氏によれば、回収された武器の約95%は南アフリカの軍隊とモザンビークの警察により爆破処理されますが、残り約5%は解体され、現地のアーティストにより平和を訴えるアートに生まれ変わるそうです。

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オブジェを制作するアーティスト   写真提供:えひめグローバルネットワーク


鳥、いす、ランプ、パンを焼く人、楽器を演奏する人、そして自転車に乗る家族。アーティストの手によってさまざまに生まれ変わった元武器のオブジェは、その材料とはかけ離れた平和でユーモラスな雰囲気を醸し出しています。しかし近づいてみるとやはりそれは銃身や弾倉といった生々しい武器の一部からなることがわかり、見る者は大きな衝撃を受けると同時に、この武器が解体されてから自分の目の前に現れた幸運に感謝をするのではないでしょうか。長く続いた戦争が終結したとはいえ、いつまた戦争が起きるかわからない、そんな中で武器を手放すのは容易なことではありません。このオブジェはモザンビークの人々が意を決して放棄し、二度と殺りくに使われないようにと解体した武器の欠片でできていることを心に留め、ぜひ展示会およびセミナー「心の武装解除―モザンビーク『武器をアートに』プロジェクトを考える」(10月19日・同博物館にて)にお出かけください。

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楽器を演奏する人たちのオブジェ   写真提供:えひめグローバルネットワーク


※遠方で展示・セミナーに行けない方には冊子購読をおすすめします。
月刊みんぱく2013年10月号(特集「武器をアートに」)



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このニュースの地域

大阪、日本 (日本

平澤 直子