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LGBTの人もそうでない人も 多様な人が集うアジアン食堂がオープン

2014.07.12 宮原 桃子

5月に開店したアジアン食堂「irodori」 ©Ayumi Onzo (SUPEREYE)

LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人たちが暮らしやすい社会を創ろうと、様々な活動を行う特定活動非営利法人グッド・エイジング・エールズ。毎年、神奈川県葉山町にて夏限定の「カラフルカフェ」を運営するほか、2013年からはLGBTフレンドリーなシェアハウス「カラフルハウス」や、ランニングイベント「カラフルラン」などを展開。

そして、次のプロジェクトとして5月17日、渋谷区神宮前にLGBTにやさしい「街づくり」を目指した「カラフルステーション」をオープンしました。1階はアジアン食堂「irodori」、2階はLGBTフレンドリーなコミュニティースペース「FLAT」、そして壁を利用したギャラリースペースを含む日本初のLGBTフレンドリーな複合施設です。同施設は株式会社ニューキャンバスとタッグを組んで運営。いろいろな個性が輝ける新しい場所づくりに取り組むニューキャンバス社代表の杉山文野氏は、元フェンシング女子日本代表で、性同一性障害である自身の体験をつづった「ダブルハッピネス」の著者。

アジアン食堂「irodori」には、LGBTの社会運動を象徴するレインボーカラーの旗が立っているものの、それ以外に特にそうしたコンセプトを紹介するものはなく、ウッディで素敵なお店がただそこに佇んでいます。杉山氏は、「あくまで美味しいお店ということで、誰にでもオープンに入ってきてもらいたい。ふと気がついたら、スタッフがLGBTだったというような自然な形で、社会の意識が少しずつ変わっていけば」と語ります。セクシュアリティも、年齢も、国籍も超えた様々な人に集まってほしいと願って作られた店内には、手作りの木製キッズチェアや絵本コーナーも用意され、子ども連れの家族も心地よく過ごせるような雰囲気。コリアンダーたっぷりのキーマカレーなどアジア料理がそろい、たくさんの人々がその美味しさを求めて来店しています。

「よく"マイノリティー"という言葉が聞かれるが、ただ多数とは異なる人々を"マイノリティー"にして、彼らが生きづらい社会になっている。LGBTであるがゆえに就職も難しい側面が未だあり、LGBTと貧困は切り離せない問題。仕事の広がりがあることは生きやすさにつながるので、irodoriではLGBTの人々に働く機会を提供する意義もある」と、杉山氏は言います。

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食堂前に立つ杉山文野さん  ©Ayumi Onzo (SUPEREYE)


今の時代、人々の有り様は多様化しているのに、社会の制度はその多様性に追いついていません。LGBTの婚姻制度や権利が確立している国々が欧米を中心に多くある一方、日本はまだまだ制度の改革が必要でしょう。しかし、制度とは別に、私たち一人ひとりの暮らしの中で、LGBTの人もそうでない人も「違うことが当たり前」という感覚を自然に持つことが、まず一番大切なこと。自然とそんな感覚が湧いてくる食堂irodori、ぜひ一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか。



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