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虐待のサインを見逃すな しゃべれない子どもたちにも支援を

2014.11.22 平澤 直子

虐待された児童の数とおなじ数の風車を差すビジュアルキャンペーン Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Joe Zlomek

11月15日、世田谷区で、児童虐待防止推進月間にあわせ「子どもの虐待防止推進フォーラムせたがや2014」が開催されました。同フォーラムの一部として、地球ニュースでも紹介した映画「うまれる」の上映に続いて行われたシンポジウムでは、虐待通告の窓口となる同区子ども家庭支援センターの柴田由美子氏、同センターよりも困難な例を取り扱う同区児童相談所の大友桂子氏、虐待された子どもたちを診てきた小児科医の松田博雄氏および奥山眞紀子氏、虐待被害者で虐待当事者の支援活動を行う廣渡麗子氏と、異なる立場で児童虐待にかかわる人々が登壇し、それぞれの立場からの話をしました。

中でもいっそう注目を集めたのが、パネリストの中でも異色を放っていた廣渡氏。現在「STOP!ABUSE」という虐待当事者を支援する活動を行う氏は、0歳より母親に虐待されて育ち(父親は母親に暴力をふるっていたが氏が0歳のときに離婚)、14歳で違法風俗店に人身売買されるも、16歳で家出し自立。しかしその後も母親の暴力により流産、ストレスで一時的に失明するなど、壮絶な経験をしてきました。しかし、根気良く自分に向き合ってくれた大人たちに出会い、徐々にその壮絶な過去から回復ができ、今は支援する側にまわり、少年院での支援をメインに活動をしています。

廣渡さんは中学一年生のときに訪れた児童相談所で話を聞いてもらえず、一方的に自分に非があると突っぱねられた経験があるそうですが、そんな経験をしていると子どもは、「自分がされていることを誰かにしゃべると、『普通そんなことない!』と言われ、『普通じゃないから隠さなきゃいけないんだ』と思い、しゃべらなくなる」のだと廣渡さんは言います。またしゃべったとしても、「言葉が特殊でまるで外国人のようで、一般の人にはわかりません。でも、根気よく聞いてくれれば、ちゃんとしゃべります。話を聞くことは、誰にでもできることですよね?だから、聞いてください、最後まで。理解できなければ、『理解できないから教えて』と言えば、大人も子どもも結構しゃべります」とも。

厚生労働省によれば、平成24年度、全国の児童相談所に寄せられた相談対応数は6万6701件、児童が死亡するに至った虐待例は56件(平成23年度)。しかしこのほかにも、廣渡氏がいうように、しゃべらない、相談に至らないケースも多数あると考えられます。子どものサインを見逃さないこと、根気良く話を聞くこと、また、少しでも虐待かもしれないと思うことがあれば地方自治体や子ども家庭センターや児童相談所に通告すること(「疑わしきは通告を」大友氏)、そして虐待にいたらぬよう、育児中の親をサポートすること、これらが今、一般の人々に求められています。



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