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今月のレコメンド: 難民をただの数字にしないために
「UNHCR難民映画祭2015」

2015.09.25 平澤 直子

難民映画祭2015で上映される「グッド・ライ〜いちばん優しい嘘〜」より © 2014 Black Label Media, LLC.  All Rights Reserved.

今月2日、シリア難民の3歳男児の遺体がトルコの海岸打ち上げられました。この男児の遺体が現地の警官に抱きかかえられる写真がインターネット上で拡散され、世界に衝撃を与えたのは記憶に新しいところです。このほかにも、オーストリアとハンガリーの国境近くに乗り捨てられた保冷車から、難民や移民と見られる人々の遺体が発見されたというニュースや、ハンガリーの首都、ブタペストの駅が難民であふれ、混乱をきたしているというニュースが連日流れ、今月13日現在で400万人を超えるシリア難民への関心は日に日に高まってきています。

ヨーロッパには、中東やアフリカからの多くの難民がやってきます。その多くは紛争に巻き込まれた人たちで、ある人は砂漠を越え、命がけで海を渡ってギリシャやイタリアなどに入り、またある人は危険な航海の後に旧ユーゴスラビア地域を抜けて中欧に行きつき、そしてまた、より豊かな西欧を目指して旅を続けます。旅の途中で亡くなる人や家族と離れ離れになる人も多く、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、アフリカとヨーロッパの間にある地中海では今年だけでも2500人が死亡、あるいは行方不明となり、ハンガリーで今年庇護申請をしている14万人のうち7000人が保護者のいない子どもだといいます。2014年、世界で難民、庇護申請者、国内避難民は過去最多の5950万人となりました。日本の人口は1億2685万人(2015年9月1日現在)ですから、日本に住む人の約半数と同じだけの数の人が、家を追われているということになります。



しかし、このように数字を並べられてしまうと余計に、自分とは遠い世界のことだと感じてしまう人が多いのではないでしょうか? そんな人におすすめしたいのが、10月2日から始まるUNHCR難民映画祭2015(開催地:東京、札幌、仙台)です。今年で10周年を迎えるこの映画祭は、「難民や国内避難民、無国籍者等に関する啓発」を行う事を目的としていて、今年は世界中から10本の映画が集められています。

ひとくちに難民に関する映画といっても、私たちが想像するような、紛争によって家を追われた難民の姿を描いた映画だけでなく、ゲイだというだけの理由で殺されかけたり、国を出なくてはならなかったジャマイカの性的マイノリティー者を描いた「忌まわしき罪」や、紛争中にレイプされた女性たちが、被害者なのに村中から責められてしまう不条理な現実を描いた「三つの窓と首吊り」、避難先から帰還したものの、学校に通う、ボクシングをする、といった普通の生活を送るだけで、脅迫を受け、命の危険にさらされる少女の生き様を描いた「ボクシング・フォー・フリーダム」など、さまざまな映画が集められています。

中にはかなり残虐なシーンの入った映画もありますので、苦手な人は、難民として子ども時代を過ごした青年たちがアメリカへ移住する姿を描いた「グッド・ライ~いちばん優しい嘘~」や、東日本大震災で両親を亡くした姉弟が、その悲劇を乗り越える姿を描いた「人の望みの喜びよ」など、明るめの映画から見てみてはいかがでしょうか。また、ほとんどの上映作品は、映画祭の特設サイトにトレイラーが掲載されていますので、視聴してから見に行く映画を決めても良いかもしれません。トレイラーはこちらから各作品の紹介に入ってご覧ください。



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