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今月のレコメンド:ベルリンで豪華オーケストラが難民サポートライブを開催 ネット中継で楽しんで!

2016.02.26 河内 秀子

コンツェルトハウスの指揮者イヴァン・フィッシャーはハンガリー出身。ハンガリーの難民対応に心を痛めているそうだ ©Marco Borggreve

今年1月、ドイツのトーマス・デメジエール内務大臣は、ある新記録を発表しました。昨年、110万もの人たちが難民としてドイツへやってきたというのです。欧州対外国境管理協力機関(Frontex)は、2016年も昨年同様かそれを上回る難民がヨーロッパに来るだろうと予測しています。

「Wir schaffen das(我々はやり遂げられる!)」というメルケル首相の力強いスローガン、しかし増え続ける難民の数に対して具体的な解決策や打破策が見えない状況に、ドイツは揺れ動いています。

大晦日にケルン中央駅周辺で起こった外国人による集団暴力事件は、いまだ背景や詳細ははっきりしていないものの、アラブ系や北アフリカ系の移民が容疑者とされ、政府の難民政策に対して批判が集中。それまでドイツ全体に漂っていたウェルカム・ムードは一転しました。今月18日から21日にかけては難民収容施設予定地が放火されたり、難民をのせたバスが極右のデモに囲まれるといった事件も起こり、緊張状態が続いています。

そんな空気を打破するかのように、3月1日、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、シュターツカペレ(ベルリン国立歌劇場管弦楽団)、コンツェルトハウス管弦楽団とベルリンに拠点を置く3つの世界最高峰のオーケストラが、難民と、難民をサポートする人たちのためのコンサート「ようこそ、わたしたちの中へ(Willkommen in unserer Mitte)」をベルリン・フィルハーモニーホールで開催します。

ベルリン・フィルハーモニーホール ©Schirmer / Berliner Philharmoniker

「誰もが理解できる"音楽"という言葉をつかって、難を逃れてドイツにやってきた人たちに歓迎のしるしを、そしてまた彼らを助けるサポーターたちに感謝の意を伝えたい」と、各オーケストラの首席指揮者であるサイモン・ラトル氏、ダニエル・バレンボイム氏、イヴァン・フィッシャー氏はそろって語っています。すでにそれぞれ慈善コンサートや、難民収容施設内での出張コンサートなどを行っている各楽団ですが、こんな豪華共演は初めて!

ダニエル・バレンボイム率いるシュターツカペレ。アルゼンチン出身のイスラエル人であるバレンボイムは、自国アルゼンチンにシリア難民の受け入れを要求したりもしている ©Holger Kettner

モーツァルトのピアノ協奏曲は、巨匠ダニエル・バレンボイム氏が指揮、かつ自らピアノを弾く予定。プロコフィエフの交響曲第1番は、イヴァン・フィッシャー氏率いるコンツェルトハウス管弦楽団が演奏し、ベートーヴェン交響曲第7番はサイモン・ラトル氏がタクトを振って、ベルリンフィルが演奏......と、音楽ファンでなくても、すごい顔ぶれ!と興味をそそられるラインナップです。

サー・サイモン・ラトル。芸術団体としては初のユニセフ親善大使に任命されたラトルとベルリンフィル。難民に対しても慈善コンサート、募金呼びかけなど積極的に支援運動を展開している ©Stephan Rabold

2200枚の無料チケットは、すべてサポート団体を通じて難民の人たちやサポートをしている人たちに渡されていて一般の人は今回は入れません。しかし、このコンサートの模様は世界中にインターネット配信されるので、日本でもライブ中継で聴くことができます。予定時間は3月1日の18時から20時(日本時間の3月2日、深夜2時~)です。美しい音色に耳を傾け、その音楽に込められた思いを感じ取ってみませんか?



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このニュースの地域

ベルリン、ドイツ (ヨーロッパ/ロシア

河内 秀子