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見えた! 英で残存視力を高める「スマートグラス」開発

2014.06.23 平澤 直子

Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Niharb

「見える!」、ロンドンのマーケットで、メガネ型の装置をつけた女性がそう叫びました。叫んだのは視覚障害を持つLynn Oliverさん。彼女がつけているのは、イギリスのオックスフォード大学で開発されているスマートグラスです。

スマートグラスとは、メガネをかける要領で頭部に装着して使用するウェアラブルデバイスのことで、グーグルエプソンJINSからも同型の装置が発表されています。装着するだけで映画が見られたり、自身の疲れ具合を知れたりと、スマートグラスの機能はさまざまですが、オックスフォード大学が開発しているのは、ロービジョン者(視機能が弱く、日常生活が困難な人)のためのスマートグラスです。

イギリスには視覚障害により日常生活を送るのが困難な人が200万人近くいるといわれていますが、そのほとんどの人には多少の視力が残っているといいます。オックスフォード大学は、スマートグラスを用いてこの残存視力を強化する手法を開発しました。このスマートグラスのフレームには3Dカメラが埋め込まれており、その画像はコンピューター処理され、リアルタイムにレンズに映し出されます。それにより、これを装着した人は近くの人やものの「形」がより明るくよりはっきりと見えるようになります。このスマートグラスを試着した人の中には、初めて自分の盲導犬を見ることができた人もいます。

このプロジェクトを統括するStephen Hicks博士は、「(これをつければ)ひとりでより簡単に歩き回ることができるようになります」といいます。また、英王立盲人協会のJohn Worsfold氏は、「これでロービジョン者の生活は大きく変わる。スマートグラスのおかげで彼らはある程度自立して普通の生活を送れる」といいます。

現状、このスマートグラスはまだ大きいですが、いずれ普通の眼鏡と同じサイズになり、値段も携帯電話と同じくらいの価格になるだろうと研究者はいいます。彼らは今年の後半には最初の100セットを作り、ロービジョン者の日常生活用に配布予定で、それが好感触だった場合、今後数年で生産数を伸ばす予定です。



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平澤 直子