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2018.10.19 | 河内 秀子

コーヒー代をごみで支払うカフェが登場 海洋ごみ、プラごみを考える新たな試み

今年10月10日から4日間の短い間ですが、ベルリンにちょっと変わったカフェがオープンしました。その名も「ラビッシュ・カフェRubbish Café 」。ごみ・カフェとは一体どんなカフェなのでしょう?


ごみカフェ。ベルリン中心部のミッテ地区にあるカフェを期間限定で使って、店内ではワークショップなども開催した

実はこのカフェでは、お金の代わりにプラスチックごみでドリンク代を支払うことができるんです! うちにもちょうど使い切ったシャンプーと洗剤があったので、さっそくそれを持参して、カプチーノを2杯注文しました。

太平洋に浮かぶ7万9000トンものプラスチックごみ。このカフェでは、日本の国土面積の4倍以上にも及ぶという膨大なごみの問題に目を向けて欲しい、プラごみを少しでも減らすために、プラスチックを再利用しようと呼びかけています。

このカフェを企画したのは、ベルギー生まれのエコ洗剤会社「エコベール」。1979年に創業したこの会社は、現在では欧州最大級のエコ洗剤会社に成長しています。

エコベールは、今年から100%リサイクルのプラスチックボトルの使用をはじめ、2020年までには全商品をリサイクル素材のボトルにすることを目標に掲げています。それに加え、包装ごみを減らすため、詰め替えや量り売りの試みも同時に実施していく計画だそうです。

ラビッシュ・カフェの店内にも大きな洗剤の詰め替え用ボトルが置かれ、洗剤のボトルをごみとして持ってきたお客には、無料で入れて持って帰ってもらえるようになっていました。


店舗などに設置できる、詰め替え用システム。洗剤のボトルの口がきっちりはまって、溢れることがないデザイン

今年6月にカナダで開催されたG7では、海洋プラスチックごみの削減に向けて「海洋プラスチック憲章」が提起され、アメリカと日本以外の5カ国が署名、協力を表明しました。コカ・コーラやネスレ、イケアなども協力を表明し、スターバックスがプラスチック製のストロー禁止を打ち出して話題になっていますが、EUでも使い捨てプラスチック製品の使用禁止を進めており、10月末、欧州議会で決定する予定です。

今夏のベルリン・ファッションウィークでも、プラスチックごみをリサイクルして作る素材が話題のトップになっていました。北ドイツ、ハンブルク発のファッションレーベル「Jan’n June」からは、海に流れ着くごみの中でもフィッシュネットをリサイクルしたEconyl® 社製の素材を使ったラインを提案。この「ゴーストネット」と呼ばれるプラスチック製の漁網の切れ端は、海に暮らす様々な生き物が絡まって命を落とすことが多いと言われるもの。

Jan’n June。ほかのラインには、ペットボトルをリサイクルした素材を使っているサステイナブルファッションブランドだ ©Lena Scherer

また、ドイツのスポーツブランド、アディダスは海洋環境保護に取り組む「パーレイ・フォー・ザ・オーシャンズ」とのコラボレーションを進めており、海洋プラスチックごみをアップサイクリングした「パーレイ・オーシャン・プラスティック(Parley Ocean Plastic)™」素材を使用したランニングシューズを出しています。

ドイツの世論調査研究所Forsa社の調べによれば、ベルリン市に住む18〜29歳の98%がプラスチックの個別包装やプラスチックカップの全面禁止に賛成しているそう。

逆に言えば、この年代層は使い捨てが身近で、最も多くごみを作り出している人たちでもあるため大きなテーマであるのかもしれません。

しかしこの年代に限らず誰もが、毎日のようにプラスチックごみを捨てています。一人ひとりが意識を変え、何気なくスーパーで購入する商品からプラスチック包装の少ないもの、リサイクルされているものを選び、カフェではテイクアウトをやめ……少しでもプラスチックごみを減らすように心がけていかなければと、ラビッシュ・カフェでコーヒーを飲みつつ、思いを新たにしました。

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河内 秀子
河内 秀子(かわち ひでこ) 地球リポーター

ドイツ ベルリン在住 東京出身。2000年からベルリン在住。ベルリン美術大学在学中から、ライター活動を始める。 現在雑誌『 Pen』や『 料理通信』『 Young Germany』『#casa』などでもベルリンやドイツの情報を発信。テレビのコーディネートも多数。http://www.berlinbau.net/

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