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2020.03.18 | 河内 秀子

コロナ危機の今こそ人との結びつきを ドイツから広まる助け合いの輪

世界各地で広まっている、新型コロナウイルス感染症。3月11日には世界保健機関(WHO)がパンデミック宣言を行い、刻一刻と変わる状況に対応すべく、各国で次々と新しい対策が取られています。

ここドイツでも劇場や博物館なども一時的に閉館。仕事も出来る限りリモートワークに切り替え、飲食店や公共交通機関でも他人との距離を取るようにと言われていますが、この危機的な状況を逆手にとって、助け合い、人と人との結びつきを強めるチャンスに変えよう! という動きが、各地で起こっています。

#NachbarschaftsChallenge (ご近所チャレンジ)というハッシュタグをつけて、ツィッターユーザーたちが次々と、助け合いの貼り紙をアップ。ドイツ公共放送連盟の加盟局全土で報道されるニュース番組でも報道されました。

例えば、ウィーン在住のこの女性は「65歳以上、もしくは免疫力が低い方へ。私たちは感染リスクが高くないから、買い物とか手伝いますよ! ドアのところにメモを置くかポストに入れるか、電話してください! 一緒にパンデミックを乗り越えましょう!」という貼り紙の見本をアップし、助け合おうと呼びかけています。

2015年にスタートしたインターネット・プラットフォームnebenan.de。現在はアプリも合わせて約150万人の登録者がいるという

また、独ツァイト・オンライン版のインタビュー記事では、近所に住む人たちをつなげるアプリ「nebenan.de」が取り上げられました。

このアプリを使って、リモートワークへの切り替えが難しい親が近くの親と集まって、交代して休校になった子どもたちの面倒を見合うグループを作ったり、隣人の買い物を助けあう動きが出ていると言います。

「ニュースを見続けて、不安な気持ちを抱いている人が多いと思いますが、自分に何かできることがあることで、安心するようです。私たちの経験からですが、近くの人を助けることができると、特に嬉しいようです」と、nebenan.deの創立者の一人、イナ・レマーズさんは言っています。

ツァイト・オンラインからの「人はそれほどエゴイストではないということでしょうか?」という質問に、レマーズさんは、「私たちは、まだとても団結した社会です。状況が厳しくなればなるほど、今自分に何の得があるのかなどと、あまり長く考えずに動こうとする人がたくさんいます。これは危機的状況下では、ポジティブな雪だるま効果となっていく」と答えています。

15歳の学生がベルリンでスタートした、助け合いポータルサイト。いまや全国に広まっている

ベルリンでは、休校中の15歳の学生が、サポートしたい人とサポートを求める人をつなぐポータルサイトをスタート! 本当に助けが必要だけど、いろいろな事情で、家族や友達に頼れない人もいるー。ニュースを見ていて、お互いに助け合える人たちをつなげたらいいのではーとアイデアを思いついたという彼は、ウェブデザインの知識を使って、このサイトを立ち上げました。

クィア・アートスペース「Karada House」では、クィア(性的少数者)の人たちを中心にサポートし合うシステムを提案しています。

西ドイツの街、ケルンでは16〜19歳の若者たちが、高齢者や病気の人の買い物などを手伝うサポートも行っています。学校や大学も休校中のいま、時間がある人は近所のお手伝いを、というわけでしょうか。

こんな時こそ、近くにいる人たちとのつながりを大切に、助け合って、一緒に危機的な状況を乗り越えようーという、強い意志が感じられ、嬉しく、また心強く感じられるニュースなのです。

コロナの危機が終わっても、ちょっとしたことで助け合う、そんな気持ちは忘れたくない

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河内 秀子
河内 秀子(かわち ひでこ) 地球リポーター

ドイツ ベルリン在住 東京出身。2000年からベルリン在住。ベルリン美術大学在学中から、ライター活動を始める。 現在雑誌『 Pen』や『 料理通信』『 Young Germany』『#casa』などでもベルリンやドイツの情報を発信。テレビのコーディネートも多数。http://www.berlinbau.net/

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