thinkFace
thinkEye

考える、それは力になる

contents

2021.04.20 | イベント情報 スタッフブログ

忘れない基金オンラインイベント報告(2)

Thinkくん
Thinkくん 「防災」を「忘災」にしない。自分たちができることは何か、これらも考えて、行動していきたいね。

2021年3月23日に忘れない基金オンラインイベントを開催しました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災より10年。私たちが忘れてはいけないこと、忘れて欲しくないこと、これからの展望について、双葉郡未来会議(福島) 代表 平山勉さん、ゆりあげ港朝市協同組合(宮城) 理事長 櫻井広行さん、石巻NOTE(認定NPO法人Switch 理事長)(宮城) 高橋由佳さん、NPO法人さんりくWELLNESS(岩手) 理事長 熊谷侑希さんから、それぞれお話しを伺いました。

「忘れない基金」は、復興のフェーズや被災地でのニーズに応じて、被災地に対する復興支援・長期支援活動を行う団体やプロジェクトを選定し、これまでに31団体へ3,100万円の寄付を実施しました。これまでご支援頂いた皆さまありがとうございました。これまでの活動報告はウェブサイトよりご覧いただけます。

イベントの冒頭に理事長の水野誠一より挨拶をさせていただきました。
「Think the Earthは今年で20周年となります。2011年に10年目を迎える時、これから地球が様々な問題に直面することが予想される中、本気で問題に立ち向かっていくためのイベントEARTHLING 2011 – 地球人大演説会を計画していました。そんな中、東日本大震災が発生して、とてもショックを受けました。事故、災害、喉元過ぎれば忘れてしまうことが多い、それではいけないという想いで、忘れない基金を立ち上げました。10年前の災害を思い出し、本イベントで学びがあると幸いです。」
※EARTHLING 2011 – 地球人大演説会は時期を改めて、2011年7月に開催しました。

次に理事の上田壮一よりThink the Earth基金、忘れない基金の寄付を実施した10年間の活動報告がありました。
Think the Earth基金では、2011年3月16日(水)~9月30日(金)の半年間で集まった支援金8,500万円を45団体に寄付。基金終了後も継続してほしいという声を多数いただき、「忘れない基金」へとつながりました。2012年4月〜5月には、都内で宮城県出身の漫画家 大友克洋さんの原画展「大友克洋GENGATEN」が行われ、入場料収入の3分の1とYahoo! Japan チャリティオークションの落札金額が、「忘れないプロジェクト」を通じて6つの団体に寄付されました。2016年には「代官山から東北復興・防災を考える3日間」(2016年2月~3月)を開催。このイベントをきっかけにThink the Earthの事務所がはいっているシェアオフィスが渋谷区と協定を結び、帰宅困難者の受入施設として有事に開放することになりました。

東日本大震災をきっかけに、この10年間にさまざまなプロジェクトを企画し、企業や自治体と協力をして活動を続けてきました。

次にコーディネーターの原田麻里子より、これまでの寄付先団体から届いたアンケートのご報告、また今回登壇してくださった4名の皆さまにお話を伺いました。
アンケートでは、以下の項目を伺い、21団体の皆さまよりご回答いただきました。県をまたいで活動している団体もありますが、わかりやすく県ごとにまとめたので、ぜひPDFをダウンロードしてご覧ください。

●現在の主な活動+活動の様子がわかる写真
●現状の活動の課題
●10年経ったいま思う、震災からの教訓とは
●私たちが「忘れてはいけないこと」は何だと思いますか?
●忘れない基金寄付者や、オンラインイベントの視聴者に伝えたいことを何でも。
●現在の活動についての告知、宣伝 → 「忘れない基金 寄付先団体からのお知らせオンラインイベント報告(1)」でまとめています。

アンケートのダウンロードはこちら
(25.8MB)

ここからは、各団体からのご報告です。

双葉郡未来会議(福島) 代表 平山勉さん:
「双葉郡富岡町出身で、今も富岡町に住んでいます。2017年に双葉郡未来会議の活動に寄付をしていただきました。双葉郡は、福島第一原子力発電所が爆発して避難区域になり、住民が全国に散らばったので、双葉郡の人同士がつながることがなくなりました。双葉郡未来会議は新しいコミュニティつくり、地元のことをもっと知ろうということで始まりました。主にSNSや冊子等で情報発信をしています。最近では教育関係とのつながり、ふたば未来学園未来創造探求という授業で、地域の課題解決の協力をしています。また、2018年に震災伝承施設として、ふたばいんふぉという総合インフォメーションセンターを立ち上げました。主に双葉8町村の現状を共有しています」

ゆりあげ港朝市協同組合(宮城) 理事長 櫻井広行さん:
「津波がきたとき朝市の建物が全部なくなり、復活は無理だと思っていました。家族を探すため避難所を回っていたとき、朝市に来てくれていたみんなを見かけ、話を聞くと食べるものがなくて困っていると。20年以上支えてくれたみんなのために食糧支援をしようと、活動を始めました。その後も食料困難が続きましたが、なんとか食料を集め震災から二週間後に朝市を開催すると、次はいつ開催するの?と問い合わせが殺到し、そこからずっと休まずやっています。震災の体験については、時が過ぎるとどうしても忘れてしまうので、今後は、南海トラフ地震がくると言われている地域の学校を中心に、先生や保護者の皆さんに震災を身近に感じ、大きな被害者が出ないように活動を続けていきたいです。また、今年はカヌーやボートを買って、子どもたちに自然を楽しんでもらえる朝市にしていきたいです」

石巻NOTE(認定NPO法人Switch 理事長)(宮城) 高橋由佳さん:
「Switchは2011年3月に仙台で障害のある人の就労支援を行なう団体としてスタートし、2013年7月に石巻NOTEを立ち上げました。震災後、不登校率がワーストになってしまった石巻で、若者のセルフケアや心のサポートをするためです。不登校、引きこもりの就学と就労、伴走型の個別支援を行っています。また、NOTEカフェという出張型の活動もしています。学校の中に入り込み、進路指導の先生と協力をして、学校と地域をつなぐハブの役割を果たすアウトリーチ支援です。現在の課題は、石巻の沿岸部の高校生が復興公営住宅から学校へ通うのが難しく(交通費が高かったり、往復に時間がかかるため)、学校に行けない子どもたちが増えてきていることです。石巻の市街地にシェアハウスのような施設をつくり、平等な教育が受けられる仕組みを作っています。他の地域のNPOと協働して若者を支援する仕組みを作っていきたいです」

NPO法人さんりくWELLNESS(岩手) 理事長 熊谷侑希さん:
「2014年5月に大船渡市の仮設住宅、災害公営住宅で運動教室を開催する活動をはじめました。運動教室を通じて、参加者同士のコミュニティづくりにも取り組んでいます。仮設住宅の部屋は狭く、住んでいる皆さんは仕事をやめたり、庭や畑を流されたりして運動不足になっている人が多くいたので、集会所を活用して運動教室を開催しました。また、住宅に戻ってきた人、家を再建した方もいたので、公民館を使った活動もしました。久しぶりに再会した方、新しく住み始めた方など、皆さんの交流する様子をみて、やってきてよかったと感じています。活動する場所が増えたので、指導者を養成する講座も開催し、3人の方に修了してもらいました。震災や災害は繰り返し起きるので、人と人とのコミュニティづくりがとても重要だと感じています。一緒に運動することで、あの人は耳が悪いんだな、あの人は足が悪いだなということがわかってくるので、何かあったときに声掛け、助け合いができるように活動を続けていきたいです」

最後は参加者のみなさんと一緒にざっくばらんに話しをしました。

参加者には忘れない基金で支援をした団体の方もいて、みんな悩みを抱えながら復興のために、本当に大変な努力をした10年だったということが伝わりました。みなさんが共通に言っていたことは、“一緒に頑張ってくれる仲間・理解して支えてくれた仲間がいたからここまでやってこれた”ということでした。一人では絶対に乗り越えられないことがあります。心が折れることも、もうダメだと思うことも。でも、そこで一人ではない、絶対に理解して、支えてくれる仲間がいることを“忘れてはいけない”ことを教えていただきました。

また、東京都内の高校2年で、危機管理ゼミを立ち上げたという学生さんが、ゆりあげ朝市の櫻井さんに質問をしてくれました。
「東日本大震災の本をたくさん読んで勉強している中、名取市の閖上で、避難の途中で二次的に被害があり、避難を呼びかけた人が本当にこれでよかったのか悩んでいるという記事を読みました。今後、災害が起きた時に後悔がないような避難活動ができると思いますか?」

櫻井さんは、「一番大事なことは脳みそがパチン!となるような避難訓練だと思っています。学校を中心にインパクトの強い避難訓練をして、家族と災害が起きた時どうするのかをきちんと話しておくことが大事。防災教育が大切だと思っているので、これからいろんなところで伝えていきたいです」と答えてくれました。

これに呼応して、2016年に忘れない基金から寄付をした団体、三陸駒舎の黍原(きびはら)豊さんが、釜石市では震災前から登下校中の避難訓練をしていることを教えてくれました。それぞれのいた場所で子どもたちが自律的に判断し、自分たちで考えることが大事なので、どうしたいのか?と、問うようにしているそうです。

最後に改めて理事長の水野より、団体の皆さんへのメッセージがありました。
「コロナの影響でオンラインでつながるきっかけが生まれました。震災や災害は辛く、大変な経験ではあるけれど、つながりや絆も生まれます。危機は大きなチャンス、好機に変えられます。ノックしないドアは開かない。ドアをノックしたから開いたドアがあります。頑張って活動を続けてください。」

「防災」を「忘災」にしない。
人のつながり、地域のつながりがとても大切だと感じました。

なお、今回登壇していただいた4団体に2019年度からの繰越寄付金と、2020年度に皆さまからお預かりした寄付金を均等に配分し寄付を実施しましたので、併せてご報告します。

福島:双葉郡未来会議・・・111,725円
宮城:ゆりあげ港朝市協同組合・・・111,725円
宮城:石巻NOTE(認定NPO法人Switch)・・・111,725円
岩手:NPO法人さんりくWELLNESS・・・111,725円

2011年〜2021年までの寄付のご報告はこちらよりご覧ください。
収支報告はこちらよりご覧ください。

これまでの10年間、忘れない基金へご支援いただいた皆さま、ありがとうございました!2021年3月で忘れない基金は終了となりましたが、忘れないプロジェクトは次の世代につなげていくために活動を続けていきたいと思います。