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Art & Design

今月のレコメンド:人生はいつまでも楽しく!
「LIFE IS CREATIVE」展

2017.01.31 岩井 光子

額にしわを寄せ、むずかしい顔をして考えなければいけない気がしてしまう超高齢化社会という日本社会の大問題も、アートやクリエイティブの視点をプラスして楽しく見直してみよう―。そんなユニークなコンセプトを打ち出して2015年10月にデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で企画され、話題を呼んだのが「LIFE IS CREATIVE」展でした。

ものをつくる人生に、リタイアなんてない!

見ているだけでも、わくわくしてくるこのコピーのもと、シニア防災ラボ、シニアメディアラボ、食ラボ、公園ラボ、オールドタウンラボ、恋愛ラボ、認知症ラボ、終活ラボ、とKIITOは8つのテーマのラボを用意しました。テーマ別に国内外の先駆的な取り組みが紹介され、アクションプランも提案されました。このうちいくつかのプランが実際に立ち上がり、KIITOが多様な人生経験を重ねた高齢者たちの交流拠点となっていったのです。

シニアメディアラボからは、地域のシニアと地元の大学生がタッグを組んで社会福祉協議会の広報誌を共同製作するプロジェクトが動き出しました。食ラボでは"職"をリタイアしたシニアが、新たに"食"で人のつながりを作るのだと、「男・本気のパン教室」が始まりました。2015年の第1弾ワークショップでは、神戸市内のシェフの丁寧な指導を受け、おいしいパン作りの技を習得した6人の「パンじぃ」が誕生。昨年末には第2弾も開かれました。

神戸で生まれたプロジェクトを厳選し、「情報」「ファッション」「食」「まちづくり」「防災」「プロダクト」の6つのテーマについて、これまでの経過を紹介する「LIFE IS CREATIVE」展が、東京のアーツ千代田3331で2月3日から12日まで開かれます。東京展では、多摩美術大生による高齢社会に向けたデザインアプローチも新たに展示されるほか、12日には「パンじぃ」6人が神戸から駆けつけ、1日限定カフェで手作りパンをふるまいます。

「男・本気のパン教室」でパン作りをみっちり学んだ「パンじぃ」たちが東京へやってくる!

京阪神の書店員たちが選んだ「65歳からのブックリスト」

同展の総合プロデューサーは、KIITO副センター長でNPO法人プラス・アーツ理事長の永田宏和さん。永田さんと言えば、ちびっこ向けのおもちゃ交換会「かえっこバザール」を地域の防災訓練と組み合わせた「イザ!カエルキャラバン」を、阪神・淡路大震災から10年目の年に始めたことで知られています。ゲーム形式で、親子や友人たちと楽しみながら防災の知識やノウハウを学べるカエルキャラバンは、今や国内250カ所以上で実践され、アジア各国にも広がりました。やり方は各地の実情に応じてカスタマイズされ、幅広い年齢層の防災訓練への興味や関心を喚起するきっかけとなってきたのです。

LIFE IS CREATIV展のシニア防災ラボは、言わば、カエルキャラバンの高齢者版。例えば、万一の大地震に備え、家具に転倒防止の金具を取りつけたりする作業は、介護の必要な高齢者にはできないこと。「そんなときに元気な高齢者が体の不自由な高齢者を助けにいくような仕組みを作っていけるといいですよね」。永田さんはシニア防災ラボの今後にそんな広がりを期待していると話します。

防災訓練を進化させるのは、シニアの人生経験かもしれない―。毛布で担架を作り、人と同等の重さのカエル人形を安全にすばやく運ぶゲーム形式の訓練

リタイアも見方を変えて"ギア・チェンジ"という具合にとらえる。元気な高齢者が部活動を立ち上げるようなわくわくした気持ちでクリエイティブな活動に参加していくことで、まちに個性が生まれ、いずれはまち全体の活性化にだってつながるかもしれません。大事なことだからこそ、楽しく面白く伝えることで人が集まり、広がっていく―。そんな思いは永田さんが手がけたこれまでの活動に一貫して流れているものです。

期間中には永田さんと「かえっこバザール」を発案した美術家の藤浩志さんのトークセッションやKIITOで人気の「+クリエイティブ・ラボ」の出張ワークショップも。参加希望者はウェブの各詳細ページの申し込みフォームから。展示会は入場無料です。



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