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Art & Design

沖縄発、環境問題をアートで楽しく解決する「ACO」

2011.03.17 大野 多恵子

くるくるシーサーマン、2007年、撮影:沖縄県

海に流出した赤土、火力発電で出た灰などを素材に、エコロジーなアートを手がける沖縄在住のアーティスト宮城光男さん。2月18-21日に、東京の神楽サロンにて、沖縄の守り神シーサー、陶器、ジュエリーなどが展示されました。「みんなが楽しくなるようなアートで環境保護を」と、10年ほど前からARTとECOLOGYを融合したユニークな「ACO」という活動を始め、その集大成とも言える作品の数々。

台風や大雨によって海に流出した赤土は、海の底にヘドロとなってたまり、サンゴや魚のすみかをふさいでしまいます。宮城さんは、自ら海に潜ってそのヘドロを取り除き、それを粘土にしてシーサーや陶器を作り、結晶からジュエリーも作るのです。「ヘドロというとイメージが悪いのですが、『海土(うみんちゃ)』と名づけて再利用。世の中にダメなものはなく、すべてが生かされると考えています」

沖縄の家の屋根でよく見かける獅子像・シーサーは、元々割れた瓦や漆喰(しっくい)の余りから作られたもので、「ゴミから生まれた神様」というエコなものだったのです。その漆喰の原料はサンゴ。沖縄周辺のサンゴ礁は、世界でも類を見ないほど生物多様性豊かな自然環境ですが、それが急速に失われているのが現状です。取り除いたヘドロを、またシーサー作りに生かすという発想は、面白いようにつながっています。

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火神(ヒヌカン)シーサー、2008年、MITSUOシーサー美術館所蔵


ほかにも、沖縄電力の火力発電で出た灰を釉薬にし、焼きものは電気窯を使い、それも将来的にはすべて風力と太陽光の自然エネルギーで賄いたいとのこと。「複数の環境問題を、アートというひとつの答えで楽しく解決することができるのです」という宮城さんのACO活動。生まれ育ってきた沖縄の空気の中で、ごく自然にその答えを見つけているのかもしれません。

4月3日(シーサーの日)には、宮城さんの作品を集めたシーサー美術館(沖縄・那覇市)で、SEA SIR MITSUO ART&ECOLOGY EXHIBITION(ACOジュエリー・食器展)を開催予定。



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