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せんだいメディアテーク、震災復興アーカイブの拠点として再始動

2011.05.24 岩井 光子

新緑のケヤキ並木とメディアテーク

日本では珍しいメディアとアートの拠点として知られるせんだいメディアテーク。仙台市青葉区の中心街にある7階建ての施設は、東日本大震災で震度6強の揺れに襲われましたが、被害は最上階の天井や1・3階の一部のガラス、太陽光設備などにとどまりました。そもそも設計段階から「数百年に一度の大震災」を想定、阪神大震災の教訓から耐震性を重視していたためにマグニチュード9.0を乗り切ることができたのだと、ウォールストリートジャーナルが5月12日付の記事で称賛しています。

周囲がぐるりとガラスに覆われ、まるで水槽のような繊細な外見でありながら、なぜ激しい揺れに持ちこたえられたのか-。構造設計を担当したのは佐々木睦朗さん。建築家の伊東豊雄さんが描いたラフスケッチのイメージにこたえようと、コンクリート柱や壁の仕上げ材といった従来の基礎構造を使わず、鉄パイプを組み合わせて作った大小13のチューブが本体を支えるという非常にシンプルな構造を採用。万一の巨大地震の際には、地下1階に組み込まれた吸収機構が地震エネルギーを集中して吸いとり、そこを根っことしたチューブがまるで水中の海藻のように柔らかく揺れることで、変形が少なくなるようにしてあるほか、ガラスの破損や飛散もできるだけ少なく済むように配慮されています。2001年に開館後、数々の建築賞を受賞し、斬新とみられたデザインそのものが、実は巨大地震の襲来を強く意識し、何度もコンピューターシュミレーションを繰り返した上で実現した構造だったのです。

施設は5月3日より活動を再開。スタジオとインターネット放送局のある2階に「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(PDF)を開設しました。今後、報道機関がカバーしきれない様々な復旧・復興プロセスを市民有志がビデオカメラなどで取材、集めた素材を編集した上で「震災復興アーカイブ」として蓄積していくと言います。大地震を乗り越えた建物は今、市民一人ひとりが震災と向き合い、再始動に向けたきっかけをつかむための情報を共有する拠点として動き出しています。

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岩井 光子