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Biodiversity

トキの命をつなぐ野生のヒナが36年ぶりに誕生

2012.04.30 山田 由美

提供:環境省

乱獲と生育環境の悪化により国内では2003年に絶滅してしまったトキ。現在は中国から譲り受けて人工増殖を行って個体数を増やし、順化ケージ(※)で訓練をしてから野生復帰を目指す事業が新潟県佐渡市で進められています。

事業を主導する環境省は「2015年ごろまでに、小佐渡東部に60羽のトキを定着させる」という目標を掲げており、自治体や地元市民はトキが自然に戻ってきても元気に暮らせる環境を作ろうと努力を続けてきました。

2008年には飼育したトキが初めて自然に放されました。外来動物のテンやカラスに襲われたり、えさを採れなくて命を落としたり、傷ついて再び保護されるトキも多くありました。しかし継続的に放鳥は続けられ、2011年9月、野生復帰を目指して放たれたトキの数は通算78羽となりました。

そんな懸命の努力が実り、この春朗報が届きました。放鳥したトキのペア1組に4月、ヒナが誕生したのです。自然界でヒナがふ化したのは36年ぶりのこと。トキが野生に定着するためには、自らの力で子孫を残す繁殖という能力が不可欠。やっと命をつなぐ一歩が進めたことに喜びを感じると共に、一度壊してしまった生命の営みを戻すのがどんなに大変なことかがわかります。

トキのヒナや親鳥が給餌する画像も公開されましたが、繁殖期の鳥は、人の気配などにストレスを感じ、抱卵や子育てを中止してしまうこともあるため、環境省はカメラ設置を一時的に中断したり、最大限の配慮をして見守っています。

ちなみに、この時期厳しい自然界で子育てをがんばっているのはトキに限らず、他の鳥も同じです。日本中の関心がトキに集まっていますが、同じ配慮が他の野生の鳥たちにも届くことを願っています。

※順化ケージ トキが野生復帰の前に自然の中でえさを採る、集団で生活する、飛び回るといった能力を身につけるための訓練施設



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山田 由美