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Food

カリフォルニアの私立校が全米初の100%ヴィーガン給食目指す

2014.07.21 加藤 彩菜

Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Rebecca J Brown

米カリフォルニアにある「MUSE School」は、環境に配慮した私立校として、「タイタニック」や「アバター」などのヒット作で知られる映画監督ジェイムス・キャメロンの妻、スーザン・エイミス・キャメロンにより2006年に設立されました。

この学校の校舎は、リサイクル材を利用して建設され、校内の電力を太陽光発電でまかなっています。また、授業には「seed to table(種から食卓まで)」というプログラムもあり、140人の生徒が果物や野菜の栽培を通して自家菜園の管理方法や料理技術、収穫物の保存法といった実践的なことから、食を取り巻く様々な社会問題についても幅広く学んでいきます。

アメリカでは、ベジタリアンのメニューを取り入れる学校が近年増えています。月曜に肉食を控える「Meatless Monday」という運動には全米の数百の私立・公立校が参加し、週に一度はベジタリアンメニューを取り入れています。MUSE Schoolのカフェテリアでは徐々にメニューを野菜中心に切り替えていき、来年中には100%ヴィーガンメニューにする計画だそうです。

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ミートレスマンデーのポスター Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by marsmetn tallahassee


熱心な環境活動家としても知られているキャメロン夫妻。キャメロン夫人は近年では、動物性食品の生産に伴う環境負荷の大きさに着目していました。「肉や乳製品を生産するためには多くの水と穀物が必要。家畜は温室効果ガスや環境を汚染する廃棄物も出す」とし、「肉食を続けているうちは、本当の環境活動家とは言えない。肉食をやめることの方が、ハイブリッドカーやLED電球に切り替えるよりも、はるかにパワフルな選択だと思う」と訴え、個々の食生活の切り替えが環境に大きな影響を与えることを強調していました。

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スーザン・エイミスは、食が環境と密接に結びついていることを訴えます


食の問題は、それぞれに文化や、習慣があり、非常にセンシティブな課題です。しかし、スーザン・エイミスはMUSE Schoolを通じて、少しずつでも子どもにも大人にも、食と環境について伝えていきたいと言います。米国では260万エーカー(約1億4000万平方メートル)以上の森林が、家畜用の穀物生産のために切り開かれました。
また100グラムの小麦を生産するのに必要な水の量は20リットル、それに対して100グラムの肉を生産するのに必要な水の量は100倍の2000リットルとも言われています。そして現在世界中で栽培されている穀物の4割もが飼料用だそうです。人口の増加で近い将来の食糧危機が叫ばれ、今でも途上国で飢餓に苦しむ多くの人がいる時代に、私たちは過剰な肉食を考え直す必要があるのかもしれません。

100%ヴィーガンの学校給食の登場は、環境問題を考えて行く上での、大きな転換点になるかもしれません。人口が70億人を突破した今日、"食"が地球環境に及ぼす影響は確実に大きくなっています。環境問題に配慮して、ハイブリッドカーやLED電球を選択するのと同じように、"食"についても環境のことを考えて選択しなければならないと思いました。そういった一つひとつの選択が、環境問題を大きく改善する糸口になるのです。



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このニュースの地域

カリフォルニア、USA (南北アメリカ

加藤 彩菜