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食料自給率1%の東京で考える「フード・マイレージ」

2010.12.07 大野 多恵子

Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by tokyostories.pnn.com

日本の食料自給率はほぼ40%(カロリーベース)と横ばい状態が続いていますが、最近は各地で地産地消の良さを見直そうという動きが広がり、東京でも伝統野菜の復活・普及を目指す「江戸東京野菜」や、ビルの屋上を利用した菜園などが注目されています。

地元で採れたものを食べていれば、輸送にかかる距離が短くなり、CO2の排出量も減る-そんなフード・マイレージに関する話が、11月16日、渋谷区主催の環境講座で行われました。農林水産省の中田哲也さんによる話のテーマは「あなたの食が地球を変える」。ここ40年ぐらいの間に、米中心だった日本人の食生活が欧米化したために輸入品が増え、日本のフード・マイレージは世界の中でも突出して高くなっているのです。

フード・マイレージの指標は、輸送量に輸送距離を掛け合わせたもので、例えば、渋谷区神南までニンジン3キログラムを運ぶ場合、渋谷区恵比寿の区民菜園で採れたニンジンなら、3.0キログラム×3.3キロメートル =9.9キログラム・キロメートル。それに比べ中国から輸入した場合は、3.0キログラム×3,020キロメートル =9,060キログラム・キロメートルという計算になります。CO2排出量を試算すると、それぞれ約1.8グラム、約700グラムと、大きな差があります。

東京の食料自給率は、全国で最低の1%という厳しい現実。中田さんは「輸送機関の違いによるモーダルシフト(※1)やLCA的手法(※2)も必要なので、指標には限界がありますが」としながら、「フード・マイレージは私たちの食生活が地球環境にかかわっているという気づきのきっかけになるのでは」と強調。都心であるほど、小さな菜園などからの「気づき」は大きいと言えるかもしれません。

※1 輸送手段をCO2排出量が多いトラック、航空から、CO2排出量が少ない鉄道、海運などへ転換すること

※2 ライフサイクルアセスメントのこと。輸送にとどまらず、生産加工、包装、消費など様々な場面での環境負荷を考えること



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大野 多恵子