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Food

鶏を絞めて、食べ物のいのちを感じる

2012.03.09 木村 絵里

1月の屠殺ワークショップで。右が畠山さん

普段、当たり前のように食べている野菜や魚、肉。「いただきます」を言う前に、食べ物がどこからやって来たのか考えてみませんか?

NPO・NGO支援を行う映画配給会社に勤める傍ら、2011年から自然豊かな千葉県いすみ市に移住し、自給自足の暮らしを目指している畠山千春さんは、昨年から屠殺(とさつ)に挑戦しています。屠殺とは、家畜などの動物を絞めること。これまで鴨、鶏、鹿、猪の解体を行い、今年1月には講師として鶏の屠殺ワークショップを開催しました。

「食べ物が簡単に手に入ると便利だけど、その過程が見えなくなったことで、自分と周りとのつながりが実感できない人、宙ぶらりんな人が増えているのでは。そんな中、自然やいのちのつながりをダイレクトに感じることのできる手段の1つが『にわとりを絞める』ことだと思います」と畠山さん。

そもそも、畠山さんが屠殺をするようになったのは「おいしい食べ物が好き」という気持ちから。野菜作りや人と人の交流が深いコミュニティに興味があり、環境負荷の少ない持続可能な暮らしを目指すオーストラリアのエコビレッジや茨城県の農家で農業体験をしたとき、「自分の体は食べ物でできている」ことを実感し、徐々に屠殺への興味がわいたそうです。昨年3月の東日本大震災後は、さらに自給自足を目指したい気持ちが高まり、屠殺をやってみたいと近所の人たちに話したところ、一緒に協力してくれる人がすぐに集まったことも大きなきっかけとなりました。

鶏の屠殺ワークショップではゲージにいる鶏を捕まえるところから始まり、絞め、お湯に入れ、羽をむしり、解体し、最後は料理をして食べるまでを行いました。

畠山さんはこの体験を通して、参加者が普段の食事のときにも「食卓に並ぶ料理はどのように作られたのだろう?」と少しでも考えてもらえたら嬉しい、と話していました。畠山さん自身も、屠殺を体験してからは自分に適切な肉の量が分かるようになり、肉料理を意識して食べるようになったそうです 。話を聞いて、肉を食べる人は屠殺を経験するべきかもしれないと思いましたが、畠山さんは強制はしたくないとのこと。「食べ物の命を感じることで、自分の命を強く感じられることを伝えたい」と話していたのが印象的でした。

これまで行った屠殺について書いたブログは反響を呼び、ぜひ体験してみたい!という多くの声を受けて3月25日に再び鶏の屠殺ワークショップが開催されます。日常生活では感じることのできない「いのち」を改めて実感するきっかけとなりそうです。



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