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20ドル持って集まれ 地元の店を支援する「キャッシュ・モブ」の経済効果

2012.06.02 岩井 光子

Yelp's Cash Mob @ Love, Me Boutique:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Yelp.com

ショッピングモールや広場などに集まった人々がマイケル・ジャクソンやMCハマーの曲に合わせて突発的にダンスを繰り広げる「フラッシュ・モブ」。この若干強引(?)な手法を応用して、地域の小さな店を応援するソーシャルアクション「キャッシュ・モブ」が今、全米各地を始め、カナダやヨーロッパ各国、韓国へと広がっています。

この運動の中心的役割を果たしているのが弁護士のアンドリュー・サムトイさん。2011年秋にオハイオ州クリーブランドの書店で約40人が一斉に買い物したキャッシュ・モブは、サムトイさんが初めて呼びかけたものでした。キャッシュ・モブはだれでも企画者になれますが、選ぶ店舗は大型スーパーやチェーン店でなく、地域に根付いた店であることが条件。企画者はツイッターやフェイスブックなどの交流サイトを通じて開催日と集合時間を知らせ、当日は20ドル紙幣を持ち寄ってグループでワイワイ買い物を楽しみます。買い物を楽しんだ後は、出会った仲間同士で地域の飲食店でパーティーを開いて意見交換。キャッシュ・モブのブログには各地で開かれた会の報告や考察が日々アップされています。

キャッシュ・「モブ」とは言うものの、フラッシュ・モブのようなゲリラ的な要素は少なく、集まる店舗には事前に了解をとること、収益は地域振興に役立ててもらうこと、などの留意点がHPのルールのページに書かれています。

サムトイさんがキャッシュ・モブを企画したクリーブランドの書店では通常の8倍の売り上げがあったそうです。こうした一時的な集客が持続的な支援につながるかどうかは未知数ですが、好奇心から参加した人が、郊外の大型店やチェーン店にお金を落とすことと、居住地域の小売店にお金を落とすことの違いに関心を持つようになっていけば、地域経済を支える大きなアクションに育っていくのかもしれません。

サムトイさんは細かなルールは設けず、企画者が地域の実情に合わせて自由に枠組みを変えていってほしいと話しています。既にカナダのレジャイナでは12日間に渡って開いたり、クリーブランドのジョン・キャロル大では同窓生向けのオンライン版を試したりと様々な動きが出ています。ソーシャルネットワークの影響力と相まって、今後「買い物から世界を変える」うねりを消費者自身が作り出していくのかどうか、注目されます。



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このニュースの地域

オハイオ、アメリカ (日本

岩井 光子