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ITに詳しくなくてもOK! 誰でも使える電子タグ「MESH」が新しい体験を生み出す

2016.01.19 岩井 光子

新聞紙を丸めただけの「剣」が"カシーン"と鋭い金属音を立てたり、段ボールの恐竜が"ガオーッ"と力強く雄叫びをあげたり―。自分が手作りしたおもちゃにそんな本格的な効果音がついたとしたら、子どもたちはきっと大興奮してしまうのではないでしょうか。手のひらに収まるブロックサイズの無線電子タグ「MESH」は、配線やプログラミングといった電子工作の知識がなくても、子どもから大人まで誰もが「あったらいいな」を形にできる画期的なデジタルデバイスなのです。

開発したのは30代中心のソニーの若手チーム。同社の新規事業創出プログラムを通して商品化され、クラウドファンディング成立後の昨年5月に発売されました。重さわずか13グラムで、4.8×2.4×1.2センチの消しゴムほどのサイズ。この小さな長方形のボディの中に無線通信装置やリチウムイオン電池のほか、7種のタグにそれぞれ色とアイコン別に「ボタン」「LED」の機能や、「動き」「人感」「明るさ」「温度・湿度」などを感知する電子部品が内蔵されています。IoT(モノやことのインターネット化)が普及した近未来の生活を予感させるデジタル製品と注目を浴び、グッドデザイン賞や経済産業省のInnovative Technologies 2015など数々の賞を受賞。今年1月の米ラスベガスの家電見本市CESでも好評だったそうです。

プロジェクトリーダーの萩原丈博さんによれば、「もし、目覚まし時計のストップボタンが洗面所にあったら、二度寝せずに起きられるかも」などと、ふとした思いつきを自由に設定できる便利なデバイスをイメージしたのが始まりだったそうです。家で振ったら音が鳴るような箱を試作していたところ、6歳になる萩原さんの子どもが大喜び。「ねぇ、これで紙の剣でカキーンってできるね」と、説明なしで何かを作り出す道具だと直感的に理解してしまったことにびっくりしたと言います。

ITにはあまり詳しくない息子と奥さんが「さっそく工作してみようか」と楽しそうにしている様子を見て、「MESHの可能性を感じることができた」と萩原さん。「電子工作と聞くとなんか難しそう...と、みんな敬遠しますよね。でも、もっと簡単になれば、誰もがやりたがるのではないでしょうか。配線やプログラミングといったスキルや知識のギャップがなくなれば、デジタルファブリケーションはもっとインタラクティブなものになる。MESHはモノづくりの要素もありますが、新しい体験や"こと"を生み出す可能性をより秘めています。いろんな人の"こんなことやってみたい"を実現させるためのサポートに僕たちも力を入れ、どんどんシェアされていくことを期待しています」

今月13日に渋谷・道玄坂のFabCafe MTRLで開かれた体験会に参加してみたところ、設定は本当に簡単でした。MESHを利用できる機器はiPhone、iPad、iPod Touch。いずれかの端末でMESHアプリを立ち上げます。タグの動作を設定する「レシピ」を書き込む「キャンバス」を開き、使いたいタグのアイコンをドラッグしてキャンバス上に置き、例えば、タブレットのカメラやスピーカー、マイクなどから加えたい機能のアイコンをドラッグして並べます。タグアイコンの頭を触ると画面上に細い線が描けるので、それと機能のアイコンをつないであげると「ピキーン!」と効果音が鳴り、設定完了です。設定はタグアイコン別にオプション機能があり、細かな条件をつけられるほか、カウンターやタイマーといったロジック系やインターネット、メール送信などとも、ひもづけることもできます。アイデアや連携のさせ方によって可能性は無限に広がっていくというわけです。

体験会で使い方をレクチャーしていたプロジェクトチームの飛田啓介さんが、MESHを利用したアイデアをいくつか紹介していました。例えばオフィスや家庭で使うとしたら、「動き」を感知するタグを利用してポストに手紙が入ったことをわかるようにしたり、1階の呼び鈴が鳴ったことを上の階にいてもわかるようにするなど、ちょっとした便利をすぐ形にすることができます。子どもは大人以上に想像力豊かで、クリスマスイブに家に来たサンタクロースをカメラに収めると張り切っていた女の子のかわいらしい様子が紹介されました。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のように植木に自動で水やりをすることは実現可能かといった楽しいやりとりもあり、体験会は和気あいあいと進行しました。


人感センサーの入ったMESHは一番人気。家族が自分の部屋に近づいてくるのをわかるようにしたり、簡単な防犯装置を作ってみたり、店ならカウンターとひもづけて1000人目にファンファーレを鳴らすといった設定もできる

ほかにも、MESHのサイトにプロジェクトチームのメンバーが実際に試したレシピや、アーティストや美大生とのコラボ例などが掲載されていて、使い方のイメージを膨らませることができます。興味のある人は、プロジェクトチームが定期的に品川のソニー本社1階の「Creative Lounge」でTouch&Try
を開催しているので一度足を運んでみてはいかがでしょうか。FabCafe MTRLや原宿のAssistOnでも体験はできるそうです。



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