NTT DATAThink Daily

  • 地球リポート
  • 地球ニュース
  • 緊急支援
  • 告知板
  • Think Dailyとは

地球ニュース

RSSrss

Technology

妊娠中や産後の辛さを理解してもらうには?
妊産婦と家族がスマホでつながるツールが登場

2016.04.21 岩井 光子

Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Kaleb Fulgham
 
「もう、画面ばかり見て!」と、リアルなコミュニケーションでは、どうもやっかいもの扱いされてしまいがちなスマホですが、SNSの新着メッセージや書き込みはこまめにチェックする現代の生活習慣をうまく活用して、夫婦間はもちろん、家族や友人といった周囲の人たちとのコミュニケーションを円滑にできないかと考えたのが、産後女性のケアに取り組むNPO法人「マドレボニータ」。昨年3月、テクノロジーによる社会問題解決を支援するGoogleインパクトチャレンジでWomen Will賞を受賞したことを機にスマホアプリ「ファミリースタート」の開発に着手。7月のリリースに向け、現在Android版のユーザーテストを実施中です。

ファミリースタートは、母子手帳をもらった日から産後1年までをひとつのプロジェクトととらえるアプリで、夫や家族、親友などを招待してチームを編成し、妊産婦を支えていきます。例えば、日々変化する妊婦の体調はダッシュボードに表示されるアバターの表情などでわかりやすく表現でき、つわりで辛い日などは気づいた人が体調を気遣うことができます。また、出産に向けた準備や買い物は、タスクパネルのウィンドウで整理できます。担当者を設定して入力するので、誰がいつまでにやるのか、タスクが済んだのかどうかが明確になり、妊婦さんのストレス軽減に役立ちそうです。今のところ、母子手帳にほとんど記述がないとされる産後ケアについても、産じょく期(産後8週まで)、リハビリ期(産後2〜6カ月)、復職準備期(産後7カ月〜)と、各ステージごとに女性の心身に起こる変化や赤ちゃんとの健やかな過ごし方、夫婦関係などについてたくさんの情報やアドバイスがあるので、妊産婦さんはもちろん、サポートする人たちも一緒に学んで参考にできます。

マドレボニータが製作した「ファミリースタート」の使用イメージ。モニター調査ではアプリ操作に熱中する男性もいたそう

妊婦さんの日々の体調がダッシュボードのアバターでわかる(左)。タスクパネルで産後の準備を分担できる(右)

マドレボニータ理事で、アプリ開発チームリーダーの林理恵さんは、「体調が悪くてサポートが必要なのに、『仕事の邪魔になる』『心配かけたら申し訳ない』と我慢してしまう妊産婦さんは多い」と話します。スマホがこれほど手放せなくなった今、「アプリがコミュニケーションの糸口となって、妊産婦を皆で支えようという意識づけや行動につながるかもしれない」、林さんはアプリの開発にそんな期待を込めていると話していました。

さて、このアプリもしかり、実は女性の復職支援にSNSなどのテクノロジーは強い味方になるというデータがあります。Googleが2013年11月と2014年5月に25歳から49歳の女性を対象に独自に行った調査によれば、「通勤に長い時間をかけられない」「子どもの病気への緊急対応に備えたい」などと、過半数が復職への大きな壁は、勤務先の柔軟性に欠けた「時間」と「場所」に関する拘束だと答えています。リモートワークを可能にするテクノロジーが、女性が働き続けるために役立つと答えた人は73.6%。テクノロジーの活用が、ひいては仕事や生活の満足度、働く意欲のアップにも影響するという興味深いスコアも出ています。

マドレボニータのスタッフも海外・地方在住者が多く、仕事はリモートワーク中心。会議はスカイプやチャットワークで行い、Googleドライブなどを活用して議事録をリアルタイムで共有したり、共同で資料作成したりしているそうです。林さんも会社員時代には通勤に3時間もかけながら時短ワークだった一時期を「大変でした」と振り返ります。「比べて、今の仕事環境はとても快適」

適切な産後ケアは、復職を考える女性たちにとって大切なはじめの一歩。11人に1人の割合で発症すると言われる産後うつや、全体の4割と圧倒的に多い0歳児の虐待死を未然に防ぐためにも、社会全体で産後を支える体制づくりは急務です。「ファミリースタート」には一般から募集した産後の体験談もたくさん盛り込むほか、マドレボニータのエクササイズ&フィットネス教室への招待券を妊産婦さんにプレゼントできる仕組みも取り入れるそう。Googleが女性のハッピーな復職を応援しようと日本で立ち上げた「#Happy Back to Work」。その斬新なアイデアのひとつとしてまもなく実用化するアプリ。日本の妊産婦さんたちの日常をどう変えてくれるのか、今から楽しみです。



関連するURL/媒体

Bookmark and Share

Thinkテーマ別に読む

Imagination, Technology

このニュースの地域

日本 (日本

岩井 光子