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Water

途上国では収入の半分が水代に消える
世界の水格差の実態

2016.03.31 橋本 淳司

水道の水が高くて買えないために、不衛生な水をくんで使用しているウガンダのスラムの子どもたち ©WaterAid/Benedicte Desrus

あなたは水を使うときにお金の心配をしたことがありますか?

途上国の水と衛生を支援する国際NGO ウォーターエイドが、3月22日の「世界水の日」に「水はいくら?〜世界の水の状況~」というリポートを発表しました。

このリポートでは世界各地の「1日の収入に対する50リットルの水価格の割合」が示されています。

まず、なぜ50リットルか? これは世界保健機関(WHO)が定めた「1日に最低限必要な水の量」です。50リットルとは、シャワーであれば5分間、トイレの洗浄水であれば5回、家庭のバスタブでは4分の1程度の水の量です。

あなたにとって50リットルとは多いですか? 少ないですか?

50リットルは、日本における1日1人当たりの水使用量の17%。

日本における1日1人当たりの水使用量は289リットル(国土交通省「水資源白書」平成26年版)です。それを風呂・シャワーに115.6リットル(40%)、トイレに63.6リットル(22%)、炊事に49.1リットル(17%)、洗濯に43.4リットル(15%)、洗面・その他に17.3リットル(6%)使っています(東京都水道局平成24年度「一般家庭水使用目的別実態調査」より著者が計算)。

次に、「1日の収入に対する50リットルの水価格の割合」はどのくらいでしょう?

<ケース1>東京在住Aさん
●1日の収入=7256円
厚生労働省の東京都の最低賃金時間額907円で8時間働いたとすると7256円。
●50リットルの水価格=7円
東京都水道局によると1リットルの料金は約0.14円ですから50リットルでは7円。
●「1日の収入に対する50リットルの水価格の割合」は0.096%。

ところが、この割合が高い国や地域があります。たとえば、「マダガスカル・アンタナナリヴォに住む工場勤務者は45%」、「ガーナ・アクラに住む路上食品販売者 25%」などとリポートで報告されています。

このリポートはウォーターエイドのスタッフが現地の人に直接聞き取り調査を行ってまとめられたものです。リポートから2つのケースをピックアップしました。

<ケース2>モザンビークの首都マプト郊外在住のアメリアさん
●1日の収入=100メティカル(約248円)
アメリアさんと夫は、2人合わせて1日100メティカル(約248円)で暮らします。この金額にはアメリアさんがパンを売って稼いだ収入も含まれますが、パンについては安定した収入とは言えません。1日の収入は、アメリアさんと夫の2人分を単純に2等分して50メティカル(約124円)となります。
●50リットルの水価格=6.25メティカル(約15.5円)
アメリアさんのうちでは、3人の子供を含む家族5人分の食事や洗濯、お風呂などに1日280リットルの水が必要ですが、自宅近くには水源がありません。安全な水を確保するには、自宅の水道水を転売する違法な水売り人から水を購入するしかない。価格は20リットルにつき2.5メティカル(約7円)。家族の1日分280リットルを買うには35メティカル必要(約84円)です。50リットルの水価格は、6.25メティカル(約15.5円)です。
●「1日の収入に対する50リットルの水価格の割合」は12.5%

パプアニューギニアノ首都ポートモレスビーでは、約半数の人々が、給水サービスのない地域に暮らしている ©WaterAid/ Tom Greenwood

<ケース3>パプアニューギニアの首都ポートモレスビー郊外在住のエリザベスさん
●1日の収入=14キナ(594円)
エリザベスさんは屋台でスナック類を売ることを仕事にしています。商売が順調にいった週の売上げは100キナ(4123円)。これは1日あたり14キナ(594円)。
●50リットルの水価格=7.5キナ(303円)
エリザベスさんは、飲用・料理用の水50リットルを「ウォーターボーイ」と言われる水宅配サービスから買っています。50リットルで7.5キナ(303円)。(体を洗うための水、洗濯に必要な水は不衛生な井戸水を利用している)
●「1日の収入に対する50リットルの水価格の割合」は53.6%

安全な水は「ウォーターボーイ」と言われる宅配サービスに頼るが、収入の半分以上を払わなければならない ©WaterAid/ Tom Greenwood

このように「1日の収入に対する50リットルの水価格の割合」の割合は国や地域によって大きく異なります。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。1日の収入という点から考えると、経済が未発達で低所得であるといえます。50リットルの価格という点から考えると、水環境が悪いこと、水インフラが未整備なことから、経済レベルの割に水価格が高い。また、そこに目をつけた水商売の需要もあり、需要の供給のバランスから水価格が上昇していきます。

こうした地域には低コストで持続的な水インフラの整備が必要ですが、まずは途上国の水や衛生のことを多くの人に知ってもらうことが大切です。

今回リポートを発表したウォーターエイドでは、もっと途上国の水事情を知ってもらいたい、伝えてもらいたいという想いから、5都市(横浜、札幌、大阪、東京、名古屋)でウォーターエイドスピーカー講習会を開催します。ウォーターエイドスピーカーになると、ウォーターエイドのオリジナル教材・授業案を使って、学校やイベントなどで「水と衛生の授業」を実施することができます。



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