NTT DATAThink Daily

  • 地球リポート
  • 地球ニュース
  • 緊急支援
  • 告知板
  • Think Dailyとは

地球ニュース

RSSrss

Water

北京の水事情 増え続ける人口に対応するのは不可能

2010.11.01 橋本 淳司

Construction South to North Water Diversion Project:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Bert van Dijk

中国人民大学の人口資源環境経済学研究者・侯東民氏が、北京の水資源は増え続ける人口を支えることは不可能であると報告しています。

北京の常住人口は、2020年人口計画目標の1800万人をすでに超過し、もうすぐ2000万人に到達しようとしています。

現在北京の平均水資源量は37億トン、南水北調(※)が実施されると10億トンの水を供給できるので合計47億トンとなります。2000万人の人口から計算すると、南水北調後の人口1人当たり水資源量は年間250トン足らずとなります。

将来的に北京の人口はさらに増えて2500万人に達すると予測されており、1人当たり250トンで計算しても 年間水需要量は62億トンに達し、15億トンの不足となります。

北京の水資源が南水北調による導水を加えた47億トンを超えないと仮定し、1人当たり水資源量を300トンとして計算すると、北京の合理的な人口は1600万人となります。

もし、北京が地下水を使わず、地表水(南水北調の導水を含む)だけを使うのであれば、水資源量は20億トン以下となり、人口は700 -800万人が限界となります。

北京に集まる企業の増加が人口増の第一の原因です。2004年の経済調査によると、北京には293万社の企業がありましたが、2008年の調査では、440万社(48%増、147万社の増加)となりました。

侯東民氏は、「北京の経済的発展と人口のためにいつまでも他地域から水を供給する理由はない」とし、「北京への企業進出数を制限すべき」としています。

※中国南方の河川水(長江など)を水路で北方の河川(黄河など)に送り、水不足を解消しようとする国家プロジェクト。2010年完成予定だったが工事が難航し完成が遅れている。



関連するURL/媒体

Bookmark and Share

Thinkテーマ別に読む

Water

このニュースの地域

北京、中国 (アジア/オセアニア

橋本 淳司