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渤海の水でタクラマカン砂漠を潤す?

2010.11.11 橋本 淳司

Desierto de Takla Makan (China) (NASA Terra-Modis)
:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Banco de Imágenes Geológicas

11月5日、中国で「海水西調」計画についての研究会が開催されました。「海水西調」計画とは、中国東部に位置する渤海の海水を、内モンゴル自治区を経由し新疆ウイグル自治区まで引きいれ、西部の水不足を解消しようというものです。

タクラマカン砂漠には塩湖やアルカリ湖が点在しています。計画では、渤海湾北西部から海水をくみ上げ、内モンゴル南東部などを経由して、タクラマカン砂漠の塩湖などに導きます。すると途中の運河や塩湖から大量の水が蒸発して降水をもたらし、中国北西部から北部に広がる乾燥地帯を潤すことができると考えられています。

ところが、渤海湾からタクラマカン砂漠までは直線距離でも2600キロあります。あまりに壮大すぎるため、非現実的と考える人も多いですが、「海水西調」計画の提唱者の一人、霍有光・西安交通大学教授は、「新疆は東が高く西が低い地形であるため、自然に流れを作ることができる。水路は中国の8つの砂漠を潤し、1億2000万ヘクタールの農業用地を新たに作ることができる」と説明しています。

しかし、「海水西調」は莫大なエネルギーが必要となるため、持続可能性という点からは疑問が残ります。また、地域の水循環を大きく変え、運河周辺やタクラマカン砂漠の降雨量は増えるかもしれませんが、周辺地域の降雨量は減る可能性があります。

「水の争奪」という言葉をよく聞くようになりましたが、水循環を特定地域の都合のいいように変えることが、究極の水の奪取ではないかと考えさせられます。



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橋本 淳司