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Water

水資源は誰が守るのか、自治体が外資買収に対抗策

2012.02.16 山田 由美

Kamikochi:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by decade_null

世界的に水資源の争奪戦が激化するなか、日本でも全国的に水源地周辺の土地が外国資本によって買収される事例が多くなってきています。 大切な水資源を守ろうと都道府県レベルでの対策が活発化してきました。 

既に国内最大の買収事例がある北海道(PDF)は昨年度から「水資源の保全に関する条例」を検討。今年に入ってからも2月7日には埼玉県が森林所有者に対し、水源地の土地取引をする際に事前の届け出を義務づける「水源地域保全条例案」を県議会に提出することを発表。次いで8日にも群馬県が「水源地域の保全に関する条例」の制定を進めることを明らかにしました。

現行法上、地下水の利用は保全目的と地盤沈下を避けるための「工業用水法」と「ビル用水法(通称)」で規制がされていますが、地下水を利用する権利は土地所有者にあります。上記法令や自治体独自の条例などに反していなければ私的に自由に使える状況にあるため、極端に言えば大量に汲み上げて売ることも可能。調査から目的や所有者が不明な土地があることも判明し行政は対応に乗り出したのです。

今回の動きは、直接的に土地取引を制止できるものではありませんが、行政のチェック機能が入ることでダミー会社を使った虚偽の取引などを防ぎ、不健全な動きを排除する目的があります。あくまで抑止力かもしれませんが、一度見知らぬ人や会社に渡ってしまってから買い戻すことは非常に困難なのです。

幾度となく地下水は公の水か私物としての水かという議論もなされてきましたが、長い時間をかけて涵養された地下水が乱用されることに対する危機感は私たち自身にも政治的にも広がってきました。都道府県レベルでの対応は初めての動きで「遅い」「効果はあるのか」「国は?」という様々な声もありますが、これをきっかけに貴重な水源地の地下深く「見えない場所にある水」への広い関心が寄せられているのは確かです。



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山田 由美