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考える、それは力になる

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2021.07.01

未来を変える学校 第1回リポート

「未来を変える学校」第1回目のゲストは認定NPO法人おてらおやつクラブ代表理事の松島靖朗(まつしませいろう)さんをお迎えしました。まずは30分の講演を動画でご覧ください。(「未来を変える学校」の主旨説明は理事の上田による動画をご覧ください)

松島さんの講演後、Think the Earthインターンで大学2年生の落合航一郎さん進行のもと、学生によるインタビューと参加者からの質疑応答を行いました。

落合さん(大2):
今日参加できなかった高校生からの質問です。現在、1600を超える寺院と500を超える団体が登録・賛同されていると思います。これだけ大きなコミュニティをどのように作られていったのでしょうか?

松島さん:
1600は、すごいネットワークですねと言われますが、全国には7万のお寺があります。それを分母にしてみるとまだまだ2%くらいですから、もっともっと広げられると思っています。ここまで短期間でこれほどまでに広がったというのは、自分自身も思いもよらぬことでした。一番気をつけていたのは、続けやすい形での協力をお願いしてきたことです。たとえば、お寺にすでにある物を使って参加できるよう、敷居を低くしたことなどです。もう一つは、貧困問題という社会問題が世の中にあるということを、しっかりとお伝えすることです。活動の中心に貧困問題を解決しようという明確な目的を据えたことで、多くの人が活動に興味・共感をしてくれ、賛同してくれ、参加してくれるようになりました。

落合さん:
理念や想い、目的を明確にし、それを中心に置くことで、人と人が繋がっていくことは僕も感じることがあります。このSDGs for Schoolの活動も色んな人が集まっていて、みんな社会を良くしたいという強い想いを持っています。その理念や目的への想いの強さが大事だということを改めて実感しました。

き・みんじさん(大1):
現在直面している課題は何ですか? それをどうやって乗り越えていこうと考えていらっしゃいますか?

松島さん:
(さまざまな助けと)繋がれていないお母さんたちをどうするのかが、コロナ禍の1年で見えてきた課題です。全国のお母さんたちからインターネット経由で「助けて」の声がたくさん届くようになって、私たちが想像している以上に厳しい生活、状況にあるということがわかり、もっともっと大きな力が必要になっています。このことが今の課題でもあり、これからのチャレンジでもあると思っています。子どもの貧困問題は1年、2年で解決するものではなく長期戦です。長期戦が得意な、お寺という場所を活用いただいて、一緒に課題を解決する仲間になっていただき、皆さんも当事者として、新しい視点で解決するためのアイデアをいただけたら嬉しいです。

上田さん(高3):
ウェブサイトを見ることができない方(お母さん)でも活動を知る方法はありますか?

松島さん:
はい、インターネットを使えないお母さんたちもたくさんおられます。自治体が困窮者の情報を持っていますが、その共有は難しいため、そういったお母さんたちの生活動線にパンフレットやポスター等を掲示して知ってもらうという活動をしています。たとえば行政の困窮者支援の窓口に来られるお母さんたちに「おてらおやつクラブ」のパンフレットを紹介いただいています。もうひとつ、お寺だからこそできるユニークなプロモーションだと思いますが、お寺には山門の前に掲示板があります。そこにポスターを貼ってもらいます。子どもの貧困があることを知ってもらうだけでなく、こんな活動をしているお寺だということを知ってもらい、「助けて」の声を寄せて、お寺に足を運んでくださいというような告知方法にも取り組んでいます。

大日方さん(大1):
今日の参加者には学生の方も多いと思います。いろんな問題を知って何かやりたい、活動を一歩踏み出したいと思っている学生に向けて、なにかメッセージやアドバスがあればお願いします。

松島さん:
自己紹介の時に触れましたが、私はお坊さんになるのが嫌で、新しい道を求めて試行錯誤していました。社会の問題を考える余裕は一切ありませんでした。自分がどういうふうに生きていくのかということで精一杯でした。それを思うと、皆さん十分すごい行動力があると思います。あえてアドバイスをするとすれば、深く考えずに行動したらどうでしょう? ということです。正直に言えば「おてらおやつクラブ」の活動も、始めた頃はせっかくお坊さんになったんだから、何かいいことしなければいけないな、くらいしか考えていませんでした。けれども動き始めると、いろんな人がいろんなアドバイスをくれました。もっとおやつが必要なので、何かいい方法はないですか? という問いをいただくようになりました。自分のお寺でのお供え物は、数に限りがありますから、どうしようと悩みました。けれども待てよと。全国にはコンビニエンスストアの数よりも多いお寺があって、そのお寺に協力をお願いすれば、たくさんのおやつを届けることができるんじゃないかと考えるようになりました。そして、何も考えずお寺さんに相談しに行きました。そしたら協力するよ、というお声がたくさん集まってきました。SDGsには「誰一人取り残さない」という大きなスローガンがありますね。その大きなスローガンのために、自分に何ができるのかなと考えだすと、結局動けないですよね。SDGsのことはもう忘れて大丈夫です。とにかく動いてみてください。それが私からのアドバイスです。結果的に「誰一人取り残さない」ことに繋がっていくと思います。

大日方さん:
ありがとうございます。確かに、何ができるんだろうと、どんどんどんどん考えちゃうと逆に行動できなくなっちゃうことがあるので、自分一人でやらなきゃいけないって思うより、色んな人を巻き込んで行く方が結果いい方向に繋がるっていうことがわかりました。

落合さん:
会社での経験や大学時代の学びが現在の活動にどのように活きているでしょうか。僕らみたいなユース世代が今勉強していることが、将来どんな風に活きていくかを、ぜひ松島さんにお聞きしたいです。

松島さん:
会社時代はインターネットで色んな事業をさせていただきました。離れた人と人とを繋ぐとか、離れている物と人を繋ぐことで、色んな困りごとを解決するのがインターネットを使った事業の本質だと思うんです。お坊さんになって何をしているかというと、社会には苦しみを抱えている人がたくさんいて、その方たちと、苦しみから逃れるための方法とを繋いでいる。その繋ぎ役が私たちなんですね。だから、お坊さんになって急にやることが変わったということは全然ありません。東京の企業で色々と経験したこと、大学時代から経営を学んだということは活きています。
学校の勉強ってなんの役に立つの? と思うときがあると思います。私もずっとそう思っていましたが、長いスパンで考えると、めっちゃ役に立っていると思うことのほうが多いです。勉強すればするほど、色んな選択肢や社会問題の仕組みが見えてくる。先ほどは色々考えずにまずは動いてみようと言いましたが、勉強することもめちゃくちゃ大事です。社会が変わっていくスピードも早いし、思いもよらぬ選択肢を選ぶことができる時代です。目指していた仕事自体がなくなってしまう可能性もありますから、興味の赴くままにやっていれば、未来において、全てが繋がっていると思える日がくると思いますので、私自身がそうだったように、皆さんもそういう日が訪れるように頑張ってもらえたらと思います。

トラオレさん(中1):
松島さんが一番尊敬している人、いいなと思う人は誰ですか?

松島さん:
私はお坊さんで修行をしているので、一番すごいなと思う人はお釈迦様です。仏教を始められた今から2500年前にインドでお生まれになられて、仏の教えを今に残してくれたお釈迦様をやっぱり、尊敬します。尊敬する人というのは、何かを始めるときに、あの人だったらどう考えるだろうと思うときに、思い浮かぶ人物だと思うんですね。私は僧侶ですし、仏教の教えに基づいて修行していますから、その源流であるお釈迦様の言葉に学びます。書物や言葉で残っているお姿を見て、社会問題、子どもの貧困に、お釈迦様だったら、どんなふうに動かれるだろう、思いを寄せられるだろうと、そんなふうに思いながらこの活動を続けています。直接会うことはできないですけれども、そういう存在に私自身、勇気づけられ、活動を続けていくモチベーションをもらっています。自分としてはお釈迦様のように生きて、そして最後は仏様になりたいなと思っています。

落合さん:
学生のみなさんありがとうございました。このあとは、参加者と松島さんが繋がる時間にしたいと思います。

参加者:
学校の教員をしています。学校とのコラボレーションはしていますか?

松島さん:
奈良県の公立高校の学生さんたちが文化祭で寄付を集める企画をしてくれました。貧困問題を啓発するブースを運営して、本の買い取りをされている企業さんと連携して、「おてらおやつクラブ」に寄付してもらう仕組みを活動の中に取り入れています。また、これはまだアイデアの段階ですが、奈良県の学生さん、先生たちと一緒に、貧困問題を考えるアイデアソンをこの夏に開催する予定でいます。関東の旅行代理店の方が、奈良に来る修学旅行の行程に「おてらおやつクラブ」の事務局を訪れて、法話じゃなくて、私の話を聞いて、実際に貧困問題を考える時間を作ったらどうかというご相談もありました。実現したら、私たちとしても嬉しいです。学校と連携についてはアイデアをご提案いただくこともありますので、ぜひご相談ください。

参加者:
衛生的な面が障壁になって、おさがりにできない物はありますか? また飲食店や菓子店で売れ残って破棄されてしまうものを食べてもらえるような仕組みはありますか?

松島さん:
おすそわけしにくいお品はあります。たとえば賞味期限が短いものや、温度で変化してしまうチョコレートなどは私たちも失敗してしまったことがありました。フードロスをなくすための活動は増えてきています。そういうネットワーク型の事業をされている組織と連携することで、お供え物以外の食品をお母さんや子どもたちに届ける機会を作れないかと企画を考えているところです。例えば飲食店に特別メニューを作ってもらい、お母さんや子どもたちをご招待するクーポンをおすそわけの中に入れておくとか、そういった形で普段は我慢して経験できない外食の機会をおすそわけする。そんな企画も実現できたらなと、考えています。

参加者:
お寺にあるものを無理なく移動させるだけで、すごく世の中の役に立つということをやってらっしゃるのがとても素晴らしいと思います。一方で、関わっていけば関わっていくほど、お菓子と食料だけでは救えない貧困問題の深さとか、本質にどんどん迫っていくと思います。食料だけでは解決できないことの限界がどんどん見えていらっしゃると思います。それ対して、どのようなアプローチをされようとしているでしょうか?

松島さん:
おっしゃるとおり、やればやるほど課題の深刻さと出会います。私たちの活動だけでは、解決できない局面とぶちあたるケースが多いです。だからこそ、私たち自身が「助けて」の発信源になっていくことが必要だと思っています。確かに根っこに近づけば近づくほど、自分たちでは解決できない原因が現れてくると思いますが、必ず解決する術を持っているのが、私たちの社会だと思っていますので、そこを私たちが声を出して繋げていく。「助けて」と「助けたい」を繋げていくことを通じて、マッチング精度を上げていければと考えています。

参加者:
お母さん方の中には困っていることが恥ずかしいと認識される方もいると思うんです。そういう方を巻き込むために工夫されていることや、必要なことは何だと思われますか?

松島さん:
良い質問ですね。公的機関や地域のコミュニティに足を運んで困りごとを相談することが難しいというお母さんもいます。そういう方を直接的に助けるのは、難しいと思っていて、足を運ばなくとも「助けて」と言える選択肢を増やす段階があってもいいのかなと思います。選択肢を増やすということは、つまりは助ける先が増える、相談先が増えていくことだと思うんです。それが、結果的に社会のセーフティネットを強くしていく結果になると思います。

最後に理事長の水野からメッセージがありました。

水野:
素敵なお話をありがとうございました。仏教という人を助けるための宗教が、リアリティを持って、行動力を持って、動いているのはすごいと思います。「助けて」を「助けたい」に繋げるというお話がありました。私は20年前まで西武百貨店で社長をやっていましたが、その頃社員に言ったことを思い出しました。「皆さんは売り手ではなく助け手になってほしい」と言ったんですね。今日の松島さんも、それをサポートしている方も「助け手」なんですね。「助けて」という悲鳴を「助け手」が「助けたい」人に繋ぐということ、その存在が実はすごく大事だと思いました。今日も若いユースメンバーの皆さんも、素晴らしい質問をしてくれました。そういう人たちが、これから社会の「助け手」になってくれることを期待しています。SDGsが名前だけのファッションになってはいけないと思っています。今日のお話にように、SDGsとつながるリアリティこそが非常に重要だと思います。本当にありがとうございました。

松島さん:
今日は、私自身が若い力と、その可能性に触れる時間を過ごさせていただきました。僕はいま45歳ですが、子どもの貧困問題って最後まで(解決するまで)見きれないかなと思っているんです。僕が居なくなっても継続できるよう、活動を法人化したのもそのためです。この問題は、当事者である若い皆さんが解決をしていっていただかないといけない長期戦だと思います。グローバルな視点で考えるということはとっても重要ですが、身近なところに目を向けて、ローカルなところからあまり考えずに行動するということ。それが結果的に大きな大きな地球規模の解決策に繋がっていくことを、私たち自身の活動でも実感しています。皆さんにもその力がありますから、自信をもって、それぞれに活動していただきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

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