thinkFace
thinkEye

考える、それは力になる

contents

2023.02.14

3年ぶりのリアル開催!
第4回 みらいをつくる超・文化祭を開催しました【前編】

2022年12月27日、第4回 みらいをつくる超・文化祭を開催しました。
今回の超文化祭は、2019年12月に行われた第1回以来、3年ぶりのリアル会場(新渡戸文化学園)での開催。一部のプログラムはオンライン配信やオンラインからの参加も行われました。さまざまな活動をする団体が、これまでの活動や今後のビジョンを共有した様子を、レポートしていきます。

● 超・文化祭とは? ●
“おとなと こどもと みんなでつくる 未来の文化祭”
超・文化祭は、おとなもこどもも対等に、みんなで未来をつくるために集まるソーシャルアクションフェスです。学校や年齢や所属の垣根を超えて「知って」「繋がって」「行動する」。参加をすれば、誰もが行動者になれる、そんな文化祭です。


会場に入場する参加者。久しぶりの再会も、あったのではないでしょうか

【前編】
1.開会の挨拶
2.スターティングセッション 〜超文化祭から始まったこと〜
3.ポスターセッション
4.ブース展示

【後編】
5.ドネーションプレゼン
6.おとなとこどもの交流会

1.開会の挨拶
はじめに新渡戸文化学園 Hapiness Hallに参加者 / 来場者が集まり開会式が行われました。新渡戸文化学園の奥津憲人さん・新渡戸文化学園理事長の平岩国泰さんから、開会の挨拶がありました。


Hapiness Hallでの開会式。司会は、SDGs for Schoolユースメンバーの高校生 藤井玲緒さんとThink the Earth笹尾実和子が務めました

奥津さん:
今年で4回目の超文化祭。リアル会場での久しぶりの開催とあって、ワクワクしますね。ぜひさまざまな団体のブースをまわり、活動を見て、繋がって、「一緒にこういうことができそうだな」と感じてほしいです。今日はよろしくお願いします。

平岩さん:
新渡戸文化学園の理事長 平岩です。私自身も放課後活動のNPOを運営していますが、小さな一歩から社会変革は生まれます。小さな一歩を記す機会として、今日一日楽しく過ごしてください。

2.スターティングセッション 〜超文化祭から始まったこと〜
超文化祭のきっかけとなった活動の一つに、SDGs for Schoolがあります。この活動が始まって5年ほどが経ち、当初から関わっているメンバーは大学生に。スターティングセッションとして、3名の大学生(平野舞さん、大日方萌さん、坂井雪音さん)が登壇しました。それぞれ中高生時代から社会課題に取り組み始め、現在は青山学院大学の学生で、ファッションの社会課題や環境問題を発信する学生団体「あらとぅ」で共に活動しています。Think the Earth理事 上田壮一、新渡戸文化学園副校長 山藤旅聞さんと共にトークセッションを行いました。

上田さん:
自己紹介と、これまでの活動について教えてください。

平野さん:
青山学院大学2年生の平野舞です。私は中学生の時に、ケニアを支援している方と出会ったことがきっかけで、高校生になってから「ケニアの女の子に布ナプキンを届けるプロジェクト」を始めました。ボランティアクラブに所属して、オーガニックコットンの切れ端を再利用した布ナプキンを作成していたんです。生徒会にも所属して、学校全体でこの取り組みを推進したいと考えていたのですが、なかなか受け入れてもらえず悔しい思いをしたことがありました。大学進学を機に上京してから改めて、社会課題に向き合う活動がしたいと思い、あらとぅに参加しています。

大日方さん:
大日方萌です。私は都内の私立高校に通っていた高校1年生の時「アースデイ」に参加したことがきっかけで活動を始めました。SDGs for Schoolのブースを見て、同年代の姿に感化されたんです。すごくキラキラして見えたんですよね。そこですぐに、アースデイの振り返り会から参加。その後もイベントや講演会の企画などに参加するようになり、国際・教育系の仕事がしたいなと思うようになりました。
コロナ渦では、リアルな場での活動が制限されるなか、中高生向けに「超談話室」というものを企画し、活躍している社会人の方からオンラインでお話を聞ける活動を始めました。

坂井さん:
突然ですが、皆さん手を振っていただけますか?
…ありがとうございます。初対面の人に手を振るって、ディズニーランドくらいでしか見ない光景ですよね(笑)でも今皆さんは、ちょっと恥ずかしいけど手を振ってみてくれました。このように「ほんの少し勇気を出して行動する」ことで、人生がガラッと変わることがあります。私はそれを伝えたくて今日ここにきました。

この写真に写っているのは、プランテーション(右側)と自然の森林(左側)です。私はボルネオ島のスタディツアーに参加して、プランテーションを取り巻く社会課題や環境問題を目の当たりにしました。

地球を守ることは、簡単なことではありません。たくさんの問題が入り組んでいます。こうした学びを得られたのも、さっき皆さんが手を挙げたくらいの「えいや!」という気持ちでスタディツアーに参加したおかげ。いろいろな場に足を運んだことで、山藤さんとの出会いや、さまざまな人との繋がりができ、自信につながっていきました。

上田さん:
みなさん、ありがとうございます。今年のサッカーワールドカップでは、森保監督が「新しい景色」という言葉を使って今後の意気込みを語りましたよね。それぞれの活動や進学を経て、異なる「景色」が見えてきているかと思います。高校生から大学生になり、今どんな風景が見えていますか?


左から、平野舞さん、大日方萌さん、坂井雪音さん

平野さん:
中高時代は、地元で周りの友達に社会課題や自分のやりたい活動について話しても「意識高いね」で終わっていたけれど、大学生になってから景色が正反対に変わりました。高校時代は、ソーシャルな活動は「特別なもの」と感じていたけど、大学生になってからは「日常」になりました。課題に目を向ける人たちの中に飛び込んでみたことで、特別から日常に変わったなと思います。

山藤さん:
平野さんは、高校時代の生徒会でなかなか活動を受け入れてもらえないという経験をされたことがありましたが、その時はどうされていたんですか?

平野さん:

学校の外に活動の場を求めていきましたね。一人で講演会に参加して、講師の先生にどんどんアタックしていきました。「私はこんなことがやりたいんです!」という感じで。その経験があったからこそ、自分から人に話しかけられるようになったし、それが好きになっていきました。自分のやっていることへの自信がついた感じですね。

大日方さん:
私は大学生になってから「人との繋がり」「活動をする姿勢」の面で、それまでとは違う景色が見えてきました。高校生の時は、隣に同じ制服の人がいて、先生が見守ってくれました。受動的にでも活動ができた。でも大学生になったら、より能動的に行動していく必要があることに気づき、最初はなかなか上手くいかなかったんです。
しかし大学2年生になって、高校時代にできた「人との繋がり」が活きています。いろいろな人との繋がりを作っていたからこそ「一緒にこんなことやりませんか」「こんなイベントがあるよ」などと、声をかけてもらえるように。高校生の時からいろいろやっていて、よかったなと思いました。周りからの刺激を受けて、高校生の時よりは、自分から行動を起こすこともできるようになったと思います。

坂井さん:

私は高校生の時から、部活や委員会も含めてさまざまな活動をしていました。休み時間にSDGs関連の活動をしている時間が特に楽しかったんです。「こういう活動している高校生ってすごいね!」って褒められることが多かったです。
一方で大学生になってからは「自分で動かなくてはいけない」と思うようになりました。「あらとぅ」という学生団体を立ち上げたこともあり、高校生の時から変わったのは、責任の大きさかなと思います。でもあくまでも「こういう活動をするのが楽しい」と知っているから、社会のどこかに「いいね!」と感じてくれる人がいるから、続けていられる活動です。

山藤さん:
「楽しいからやっている」が、坂井さんの原動力なんですね。

坂井さん:

そうですね。言ってみれば、オタク活動みたいなものなんですよ(笑)私たちの団体は、古着を回収したり、活用したりしていますが、シンプルに古着が好き!っていう人も多い。「楽しいからやっている」という人がほとんどですね。

3.ポスターセッション
スターティングセッションの後は、同会場でポスターセッションが始まりました。


それぞれのポスターセッションの前に来場者が集まって話を聞く様子。セッション内容について鋭い質問も飛び交っていました

茨城県立竹園高等学校 手話サークルの展示では、多くの人が手話を使えるようになり災害時や緊急時に助け合えるよう「手話学習の拡大」を目指し、そのための「比較実験」を発表していました。実験は、対象者に日本語対応手話(動作言語)と、フランス語(音声言語)の習得をしてもらい、一定期間でどのくらい習得できているかを比較したもの。手話の普及のための本気度が伝わり、多くの来場者が発表に耳を傾けていました。

南多摩中等教育学校SDGsミーティングの展示では、「ガチャガチャ」を用いて、世界の貧困の現状を知ってもらおうという取り組みについて発表されていました。マーケティングの観点を持ちながら「課題を知ってもらうための仕組み」を詳細に考案していたのが印象的でした。

他にも、地域課題や、世界の課題、性教育、ゴミの課題、脱プラスチックについてなど、さまざまなテーマで発表が行われました。


茨城県立竹園高等学校

捨てない暮らし〜コンポストを通して〜:明星学園中学校2年生

来場者に説明する「being」のメンバー。「包括的性教育」というあまり馴染みのない概念を、分かりやすく、親しみやすいトーンで伝える様子が印象的でした

一人で公共交通機関を利用できない人のための外出を支援する「レモンキャブ」についての発表。地元地域の課題に取り組む団体の発表も複数見られました

鉄橋を救え!三鷹跨線人道橋!:東京都立三鷹中等教育学校 1年B組探究6班

Life Without Plastic活動報告:Life Without Plastic

ポスターセッション参加団体の詳細はこちら

ランチタイム
お昼ごはんは、地域の食事を楽しんでもらおうと中野区で営業中の飲食店・お弁当屋さんがつくるお弁当を限定60個販売してもらいました。さらに、特別コンテンツとして、サメ肉の価値向上を通じて漁師の収入向上に取り組むSAMEYAさんが作るサメ肉を使ったおにぎりの試食も用意していただきました。サメ肉は高タンパク・低脂肪・低カロリーと優秀食材なのに、ヒレだけが高級食材として扱われ、他の部分はほとんど値段がつかないそうです。サメ肉の良さをもっと知ってほしい、というSAMEYAさんの熱い想いで朝から150個ほどのおにぎりをにぎってもらいました。おにぎりの製作は、新渡戸文化高等学校フードデザインコースの生徒たちも手伝ってくれました。はじめて食べたサメ肉の味はツナのようにジューシーで美味しい!たくさんあったおにぎりも、あっという間になくなりました。


SAMEYAさんのおにぎり

4.ブース展示
続いて13時〜15時は、新渡戸文化学園の各教室にて、ブース出展の時間です。体験ブースや出展者同士/出展者と来場者の交流など、リアル会場だからこそできるブース展示が実現しました。

スターティングセッションにも登場した坂井さんが代表を務める「あらとぅ」のブースを訪問すると、ファッションの課題についての発信や、古着の回収や販売、交換が行われていました。


会場に持ち込んだ古着と共に笑顔の坂井さん。レイアウトや“服の見せ方”にもこだわりを感じました

坂井さんに少しお話を聞くと「私たち20歳前後の世代は、ファストファッションが当たり前の存在で、買った服を3ヶ月で捨ててしまうことも多い。例えば今季は『アームカバー』が流行っていました。でも、また来年これを身に着ける人はきっと少ないんですよね。大量生産/大量消費されたアームカバーはどこにいくのでしょうか。まずは長く着られる服を買うこと、一度買ったら大切に使うという価値観を、同世代に広めていきたいんです」と話していました。

Make trash shineによる、ゴミ×アート体験ブースでは、ペットボトルや牛乳パックなどのゴミを自由に使った「アート作り」を通して、参加者のゴミに対する気づきを促していました。


ペットボトルと卵のパックを組み合わせる参加者。作品に愛称をつけて楽しむ人も

会場の横には参加者の気づきや感想が付箋で貼られており、「意外なゴミがあって驚きでした」「ゴミっていうのはただ人間がゴミと決めただけであって、ゴミもこの世に存在している理由があるのだと思った!!」「ゴミを減らすヒントがいただけてよかったです!」などのコメントが寄せられていました。

ほかにも、布ナプキン作りの体験、フェアトレードマカロンや地域食材を使ったパンなど飲食物販売、座禅体験、出張授業など、多くのブース展示が行われました。


千葉県立小金高校「チームインディぺ」による、地元食材「あじさいねぎ」を使ったパンの販売。地元松戸市の特産品のブランド力向上を目指した商品開発を行っています

アロハキッチン!!アクセサリー!!:チームオーシャンズ(千葉県立小金高校)

SDGs×謎解きクイズ:株式会社ミライクリエ(写真提供:株式会社ミライクリエ)

やさしいせいふくのやさしいせかい:やさしいせいふく

中学生SDGsアクションプロジェクト:NiToBe CoLoRs

出前講座:中野区環境課

共生社会を学べる『ワンダーワールドツアー』ゲーム 体験&販売会:ワンダーワールドツアー製作委員会

F.A.R.M. -みんなでつくる農業未来予想図-:F.A.R.M

ワークショップ「みんなで創る未来ツリー」 展示「丸井グループ・中野マルイの未来へ向けての取組み」:(株)丸井 中野マルイ

「てらスクール」による、オーガニックコットンナプキン制作ワークショップの様子

型紙を使って布を裁断し、ミシンで縫っていきます。参加者は真剣な様子で制作体験を行ったり、活動の説明を受けたりしていました

廃材×キャンドル:郁文館グローバル高等学校 ビジネスゼミ

フェアトレードマカロン販売:東京女子学院高等学校

ごみはポップな宝物!WS&物販:NPO法人LOOB JAPAN

曹洞宗ブースでは、「禅とSDGs」に関するパネル展示や、「ココロと身体を調(ととの)える、いす坐禅体験」が行われました:曹洞宗(写真提供:曹洞宗)

「いのちをつなぐ学校 by SARAYA」ブース・ミニ授業:サラヤ株式会社

南多摩中等教育学校SDGsミーティングは総勢40名の団体。ポスターセッションで発表したガチャガチャの実物を展示したり、昆虫食の代表であるコオロギ(生体)を紹介するなどして賑わっていました

ブース展示参加団体はこちらのページでご紹介しています。

ドネーションプレゼン、おとなとこどもの交流会は【後編】でご紹介します。
→後編はこちら

執筆:佐藤由佳/撮影:村瀬 悠

sidebar

17の目標

  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • 未来を変える目標  SDGsアイデアブック
  • ティーチャー登録
  • 学生のみなさんへ
  • 企業・自治体の方へ
  • Think the Earthのとしょかん
  • ウェブマガジンthink
  • デジタルプラネタリウムプロジェクト

17の目標

  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon
  • SDGs Icon

パートナー

  • SDGs.TV
  • unitedpeople