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ジュースパックからシールの台紙まで、フィリピンのリサイクルバッグ

2012.08.18 瀬戸 義章

「シールの台紙」を素材に、フィリピンの伝統的な織り方で作られたバッグ
photo by yoshiaki seto

フィリピンでは、数多くのNGOが廃材からエコプロダクトを製作しています。もっとも有名であり、ほとんどのNGOで作られているのが、飲み終えたジュースのアルミパックを縫い合わせた「ジュースバッグ」。

このリサイクルバッグの製法を広めたのは、1997年に発足したキルス財団です。フィリピンのマニラ首都圏東部に位置する、パシッグ市にこのNGOはあります。彼らは、ゴミの削減と雇用の創出を目的に、捨てられたジュースの空き容器から雑貨作りをはじめました。事業は軌道に乗り、2011年現在で500人以上の女性が働いています。

キルス財団の活動で特長的なのは、彼らの活動が他の団体でもできるようにと、エコプロダクツの作り方を、他の町や島にも伝えていることです。結果として、いくつものNGOが「ジュースバッグ」を作るようになりました。

「NGOが廃材から何かを作れるらしい」といううわさが広がると、面白いことが起こります。

セブ島にあるステッカー・シール工場のスタッフが、製造過程でゴミとして出る「シールの台紙」を、地元のNGOアライアンスチャーチに持ち込み、こう尋ねたそうです。

「これで何か作れるんじゃないか?」

シールの台紙は丈夫な紙素材です。試行錯誤の末、セブ島の伝統的な織り方によって、素敵なバッグが誕生しました。上の写真が、そのバッグです。とても「ゴミ」から生まれたとは思えません。廃材の活用によって、「新商品」が誕生しました。

フィリピンのエコ雑貨の輸入販売を手がける、ハロハロプロダクツ代表の土居悠(はるか)さんは、こう語ります。

「エコ雑貨作りは、確かに『雇用創出』が目的かもしれませんが、彼らは単にお金が稼げるから、という理由で働いているわけではありません。雑貨作りを通じて、社会とかかわり、共に生きるためのコミュニティーに参加しようとしているのです。こうした生き方はとても素晴らしいと思います。ですから、雑貨を紹介することで日本とフィリピンを繋いで、もっと日本とフィリピンがかかわり合って生きられるようになってほしいです」

「ゴミ」と、伝統的な織物の技術とが出会って、素敵なバッグが生まれたように、異なる文化が出会うことで、新たな価値が、きっと生まれます。

ハロハロプロダクツが提供するお洒落な再生素材のバッグや小物は、東京・世田谷区等々力の「パイ焼き茶房」で行われているフェアトレードの雑貨展で手に取ることができます。開催日は8月31日まで。また、9月には「ゴミスイッチ!2012―わたしと世界をつないだ一つのバッグの物語」という朗読劇も行われるそうです。詳しくはハロハロのウェブサイトをご覧ください。



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瀬戸 義章