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カニのすむ森が三浦半島にオープン!

2014.07.29 ささ とも

一般開放に向け、オープニングセレモニーを行った小網代の森  photo by sasatomo

神奈川県の三浦半島の先端に相模湾を見下ろすように広がる森があります。この約70ヘクタールの森はナショナル・トラスト運動を通じて保全が進められてきましたが、整備が完了し、7月20日に一般開放されました。一般開放に先がけて19日にはオープニングセレモニーが開かれ、多くのトラスト会員や一般の人たちが音楽会や観察会などのイベントに参加して自然を満喫しました。

都市化が進む神奈川で、自然が守られてきた小網代(こあじろ)の森は「奇跡の森」と呼ばれています。それは、住宅地が隣接していながら、源流から河口の干潟までの集水域の生態系が自然のまま残された貴重な緑地だからです。この森には1800種を超える動植物が生息しています。とくにカニはこれまでに約50種が確認され、この森の中央を流れる浦の川の上流からアシ原、湿地帯、そして河口では泥干潟、砂浜、岩礁、浅瀬と種によってみごとにすみ分けをしています。

なかでも「森にすむカニ」として知られるアカテガ二は、普段は森で土に穴を掘ってすみかにし、木の実や昆虫を食べています。夏の大潮になると、大群で海に向かい、「ゾエア」と呼ばれる幼生を放します。入り江で成長してカニの姿になり、秋になると森にかえります。冬に入る前に冬眠し、次の初夏には、森の中に黄色い子どものアカテガニが登場します。

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森の中のアカテガニのすみか


セレモニーではテープカットの後、地元小網代を拠点に活躍する児童合唱団や横須賀生まれのオペラ歌手の歌が披露され、その後、谷の散策コースと海・干潟のいきもの散策コースに分かれて観察会が行われました。海・干潟コースでは、ウシガエルの声がするアシ原の小道を通り、入り江に面した砂浜ではハクセンシオマネキやコメツキガニが忙しそうにはさみを振っている様子が見られました。泥干潟にはチゴガニが食べた後の土団子がゴロゴロ転がっていて、小さな巣穴からチゴガニが出たり入ったりしていました。この泥干潟では7~8月の大潮にアカテガニの放仔(ほうし)観察会(※)が催されます。

※カニのお産を観察する会

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砂地にいるチゴガニを観察

森を歩くと蝉しぐれとウグイスのさえずりが響きます。青々と繁った森の上空で円を描くトンビ、足元に流れる谷で飛び交うたくさんの種のトンボ。首都圏にありながら豊かな生態系を守ってきた森を、次の世代へと引き継いでいきたいものです。



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神奈川、日本 (日本

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