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ライドシェアが高齢化社会の移動手段を変える

2016.10.06 ささ とも

Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Guillaume Capron

日本の100歳以上の高齢者が6万5000人を超えたと、厚生労働者が先月発表しました。高齢化社会が抱える問題の一つに、お年寄りの足の確保があります。視力や体力の低下のために自動車の運転や公共交通機関の利用が困難になるからです。そのため病院に通えなかったり、家族や友人との交友が途絶えたりすることで、孤立につながるケースもあります。日本と同様に高齢化が進むアメリカでは、新しい移動手段として「ライドシェア(相乗り)」が注目されています。

最近、日本で地元NPOがライドシェア業者ウーバー・ジャパン(Uber Japan)のスマホアプリを利用した配車サービスの事業を開始したことが話題になりました。アメリカでも自治体とこうしたライドシェア業者が協力して、高齢者向けの送迎サービスを始めるなどの取り組みが広まっています。

フロリダ中北部のゲインズビルでは2015年9月に、ウーバーと地元の老人介護団体などが提携し、60歳以上の住民を対象に配車サービス「Freedom in motion」を試験的に開始しました。利用者はウーバーのスマホアプリを使ってリクエストし、連絡を受けたドライバーがマイカーで迎えに来てくれるという仕組みです。料金は所得水準に合わせて1~5ドルと設定されています。必要であれば、利用が制限されたスマートフォンの貸し出しも行っています。



ニューヨーク市では2016年1月、リフトと医療機関への送迎を行う業者National Medtrans Networkが提携し、高齢者向けのサービスを始めました。このサービスでは、リフトが考案したウェブアプリ「コンシェルジェ(Concierge)」を使うので、スマートフォンを持たない高齢者も利用できます。名前と送迎場所を入力するだけでリクエストが簡単にでき、リフト登録のドライバーが患者を病院まで送ります。ニューヨーク市では週2万5000人のリフト利用客のうち2500人がこのサービスを利用しているといいます。

サンフランシスコでは、リフトヒーロー(Lift Hero)が2014年から、看護師や医療専門家などの特別な資格を持つドライバーによるサービスを提供しています。スマホアプリか電話でリクエストするとドライバーがマイカーで家まで迎えに行き、荷物を持ったり、買い物に付き添ったりするなどの手助けもしてくれます。ほかにも、サンフランシスコに拠点を置く、高齢者向けの配車サービスを行うSilverRideは、担当者が電話で対応するのでスマホなどの操作が苦手なお年寄りでも気軽に利用できます。毎月美術館やコンサートを観覧するイベントなど、孤立しがちな高齢者が、ほかのメンバーと一緒に楽しい時間を過ごせるサービスも提供しています。

こうしたライドシェアによる送迎サービスは、高齢者だけでなく、障害者や低所得者など一般的な交通手段ではなかなか外出できない人たちにとっても、移動手段の選択肢を広げてくれるきっかけとなるはず。しかし、このシステムが普及して定着するまでには、まだ時間がかかるだろうと多くの専門家が述べています。高齢化が急速に進むなか、新しい交通手段を早急に取り入れていく必要がありそうです。



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