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東日本大震災から得た教訓を世界へ

2012.10.14 ささ とも

東松島市の被災建物に残されたランドセル (c)ささとも

国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会の特別イベント「防災と開発に関する会合」が10月9日から2日間、東日本大震災の被災地、宮城県仙台市で開催されました。40カ国、8国際機関から320人が参加し、災害に強い社会の構築をテーマに、都市化や気候変動によりリスクが高まる自然災害への対応と途上国の開発計画への国際支援について議論が交わされました。

国際NGO「難民を助ける会」の長有紀枝理事長は基調講演で、障害者支援にかけつけた被災地の避難所では、障害者の人たちが必要な情報を十分に得られなかったり、段差のために車いすが通れずトイレに行けなかったりして不便を強いられたことや、災害から逃れたのに避難所で多数の人が亡くなったことを取り上げ、障害者や社会弱者を考慮した防災計画の必要性を訴えました。

世界銀行と日本政府は昨年から東日本大震災で得た学びを世界と共有しようと、震災時の対応と被害の調査・分析を共同で実施してきました。その成果は、6つの項目別に全部で32の教訓ノートにまとめられ、ウェブで公開されています。例えば「非構造物対策」のコミュニティー防災では、地域社会が重要な役割を果たし、住民組織が大勢の人命を救った経験や、政府や地方自治体が住民組織の役割を認識して支援することの重要性が述べられています。

ほかにも、仙台では10日にTEDxSendaiが開かれました。TEDとはテクノロジーやデザインなどの各分野の第一線で活躍するスピーカー陣を招いて「広める価値のあるアイデアを共有する」ことを目的に1984年に米国で創設されたカンファレンスイベント。TEDxはそのコンセプトを受け継ぐ形で、世界60カ国以上で開催されています。TEDxSendaiのテーマは自然災害。スピーカーの一人、米ディスカバリーチャンネル「夢を叶える発明ショー(原題:Prototype This!)」の発案者のマイク・ノースは、溺れた人にライフベストを届ける無人飛行機など災害現場で役立つ発明品やアイデアを披露し、紙芝居「つなみ」の作者の田畑ヨシさんは、過去の津波体験を通じて、次の世代に命を守る大切さを伝承していくことがどれほど重要かを語りました。最後にサプライズゲストでキム世銀総裁が登場し、「日本の防災対策を災害に弱い途上国の社会基盤へ応用したい」と今後の抱負を掲げました。

震災から1年と7カ月。この地震が最後ではない、次の震災への対策を記憶の新しいうちに講じておくことが今、求められることだ--と、日本・世銀共同プロジェクトのアドバイザリーグループ座長を務めた関西大学の河田惠昭教授が語った言葉が印象的でした。



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