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プラスチックゴミを「油田」へと変えるブレストの挑戦

2013.02.07 瀬戸 義章

ブレストの開発した卓上型油化装置  photo by sayuri kakimoto

プラスチックは全世界で年間2億6500万トン(2010年資料参考)も生産されています。自然界で分解しないプラスチックは、その多くがゴミとして海や陸地に残留し、野生動物が誤飲しています。

環境をテーマに商品開発を行ってきたブレスト(本社:神奈川県平塚市)は、そんなプラスチックゴミを「油田」へと変える装置を2001年に開発しました。プラゴミを入れてボタンを押すだけで、なんと石油を生み出すのです。1キロのプラゴミから、1リットルの石油をつくることができます。この装置が国連大学のwebマガジンによって紹介されて以来、ブレストには全世界から問い合わせが殺到し続けています。その数は1万5000件を超えました。廃プラスチックの処理には、それだけ多くの人々が頭を悩ませているのです。

この魔法のような装置は、いったいどういう仕組みなのでしょうか? もともと、プラスチックは石油からできています。油化装置はその逆を行います。つまり、廃プラスチックを熱することで、石油に戻すのです。熱処理の過程でいったん気化させることにより、汚れなど不純物を取り除くことが可能です。石油をつくるだけでなく、発電機とも組み合わせれば、プラスチックゴミを燃料に、電気を生み出すことさえ可能になります。しかも、油化装置を動かす電気は、プラスチック発電でまかなえるのです。

一見、万能のように見える油化装置ですが、残念ながらすべてのプラスチックを油化できるわけではありません。利用できるのはPP(ポリプロピレン)とPE(ポリエチレン)であり、水道のパイプや電線などに使われる塩化ビニルや、ペットボトル容器に使われるPETは、安全面などから油化することができないのです。

ブレストの伊東昭典社長は「テクニカルな事よりも、分別の文化を広めることが難しい」と言います。いくら良い装置をつくっても、間違ったプラスチックや、そもそもプラスチックでないゴミが混じってしまえば、うまく油化できるはずもありません。

伊東社長は様々な仕掛けを通じて、分別の文化を生み出そうとしています。定期的に「スクール油田」という特別授業を学校で実施し、分別の大切さについて子どもたちに教えています。他にも、世界陸上とコラボして、飲食用の容器をすべて油化可能なプラスチックにしたこともあります。最近ではレディー・ガガに手紙を書いたそうです。近々、プラスチックリサイクルのためのコンサートが開催されるかもしれません。また、もしこの記事を目にして、装置を使ってみたいというイベント関係者の方がいましたら、ブレストへ連絡してみてください。きっと快く応じてもらえます。

「30年前の日本では、山手線のホームから線路上へタバコをポイ捨てすることが当たり前でした。吸い殻がたまって、砕石(さいせき)が見えなくなるほどでした。でも、今そんなことをしたら、白い目で見られますよね? 既に日本人はゴミ処理を文化としているのです。分別を文化にすることもできるはずです」

プラスチックゴミを「油田」にするために、ブレストの挑戦は続きます。



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神奈川、日本 (日本

瀬戸 義章