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サマータイムは効果なし? 産総研が節電効果を検証

2011.06.29 アマサワエンジィ

200508 tokyo crowd:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by iambents

サマータイム導入、ゴーヤなどのつる性植物の「緑のカーテン」、クールビズ...と、夏本番に向けて様々な節電対策が呼びかけられていますね。今夏、東京電力管内では電力ピーク時の15%の需要抑制が目標(PDF)とされていますが、個々の節電対策が果たして家庭やオフィスを合わせた社会全体の電力需要抑制になっているのか、疑問を感じたことはありませんか? 独立行政法人・産業技術総合研究所の安全科学研究部門(茨城県つくば市)では、夏の電力需要増加の引き金となっているエアコンの電力消費を抑える節電対策をいくつか取り上げ、家庭と業務(事務所)を合算した場合(※)、最大電力需要を何%削減できそうか、シミュレーションを実施しました。

今回の調査には、同研究所が中心となって開発した都市気象-ビルエネルギー連成モデル「AIST-CM-BEM」を使用。気象条件や街区構造によって変わる気温や湿度、空調需要を計算できるほか、エアコンの排熱による気温上昇や、街区の気温上昇によって見込まれるエアコン需要の増加なども考慮できるというものです。

計算結果によれば、計画停電(全建物の5分の1を3時間ずつ輪番停電にした場合)は、停電中に屋内に熱が蓄えられるため、停電解除後に空調需要が急増し、対象地域全域で9%しかの電力需要を削減できない結果となりました。また、窓日射遮へい(ブラインドや緑のカーテン)と空調設定湿度見直し(家庭平均24.5度、事務所平均26度の設定を全域で28度に引き上げた場合)では、各5%の削減、これらの対策に夕方以降窓を開けるといった通風換気を合わせて行った場合には、計11%の削減が見込まれるそうです。また、生活時間の前方シフト(サマータイム導入)はオフィスでの需要を下げるものの、帰宅後の家庭での電力需要が増えてしまうため、電力需要は4%増加してしまうという結果になりました。

さまざまな企業がサマータイムや生活時間シフトの導入を節電対策として打ち出していますが、今回の結果からは逆効果になってしまう可能性もあります。夏本番はすぐそこに迫っていますが、各対策の効果を見据えた上での行動と決断が望まれます。

※電力需要が気温の変化の影響を受けない産業部門はのぞいてあるとのこと。



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