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魚の群れをモデルに風車を配置、 電力を10倍に

2011.08.20 アマサワエンジィ

現在風力発電用に多く用いられている水平軸のプロペラ型風車は、風力の50%かそれ以上を電力に変換することが出来ますが、設置間隔を近づけ過ぎると、隣の風車が起こす風が邪魔をして効率が下がってしまいます。そのため、効率を90%にまで引き上げるには、風車を横方向はプロペラの回転翼の直径の3-5倍分、風下方向は6-10倍分の距離間隔をとって設置する必要があります。一基で出来るだけ多くの風力を捕らえられるよう巨大な風車が利用されているなか、その分広大な敷地が必要となるのが欠点のひとつとされています。

馴染みは浅いものの、風車の中には垂直軸の形式も存在します。ビルの回転ドアをほうふつさせる垂直型は、風が軸を取り巻く羽根の一部にしか当たらないため、一基当たりの効率は低い反面、複数基の配列の仕方によって間を通る風力が増大することがわかりました。この特性を実験によって明らかにしたのが、カリフォルニア工科大学で航空学と生物工学を教えるジョン・ダビリ教授らによる研究チーム。以前は魚の群れの動きを研究していたダビリ教授は、魚の群れが効率よく泳ぐための配列を、垂直軸形式風車の配置に応用できないかと考えました。

コンピューター・シミュレーションの後、昨夏、6基による野外試験が行われました。魚の群れをモデルに配置を検討した結果、電力密度(面積当たりで得られる電力)が約10倍も増加、その数値はプロペラ型風車を大きく上回る結果となりました。プロペラ型風車に比べて垂直型は使用面積と風車自体も小さいためにコストが低くなると期待され、また、環境への影響が少ないため、イギリスや日本など、国土面積の小さな島国に適した形式だと言われています。ダビリ教授らは今夏、18基に増やした実証実験を実施中です。世界各地で自然エネルギーへの関心が高まっているなか、風力発電の発展にも期待がかかります。

昨夏の実験データをまとめた論文は7月19日付のJOURNAL OF RENEWABLE AND SUSTAINABLE ENERGYオンライン版に掲載(PDF)されています。



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このニュースの地域

カリフォルニア、アメリカ (南北アメリカ

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