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Food

コミュニティー・レストランがつなぐ食への思い

2012.06.17 アマサワエンジィ

コラボ食堂のメニューは800円均一で1日20食限定。この日のメニューは野菜のみのインド料理 photo by Angie Amasawa

ワンデイシェフ・システムとは、お店に登録した市民が、日替わりでランチやディナーを提供するレストランの運営方法。料理好きの人なら誰でもシェフになることができ、食を通してコミュニティーの活性化を図る斬新なアイディアです。このシステムを取り入れた長野県の第1号となる「コラボ食堂」では、コミュニティー・レストランの運営を始め、農家と消費者をダイレクトにつなげるさまざまな取り組みが行われています。

コラボ食堂はNPO法人食と農のまちづくりネットワークが農家とまちをつなぐ拠点として、2009年に始めました。現在33組のワンデイシェフと、食材を提供する10組の農家が登録しています。食堂のメニューには、地元のおばあちゃんが作る郷土食、地域の古文書に載っている献立、カフェ風ランチ、シェフ自らが栽培して手打ちしたそばから、インド料理まであり、十人十色。メニューを眺めていると、野菜中心のメニューが多いことに気づきます。実際、上田市とその周辺では美味しい野菜がたくさん採れるのです。

「別にベジタリアンの店を目指しているわけではないのですが、農家は自分の畑で採れた野菜を食べてほしいので野菜中心のメニューになることが多いですね」と、語るのは食堂コーディネーターを務める竹内紀子さん。ビーガンでもある竹内さんは、レストラン運営を補助する傍ら、自身も月に一度ワンデイシェフを務め、「La Verdura」(イタリア語で野菜)という名の野菜のみのメニューを提供しています。シェフ一人ひとりの個性と食への思いが詰まったメニューは、お客に地元の旬の食材を印象づけるだけでなく、さまざまな食への好奇心を満たす効果もありそうです。

ワンデイシェフのうち2組は、シェフと食材を提供する農家をかけ持ちしています。「スミレは食べられるんですよ」と、自家製野菜をふんだんに使った焼きビーフンランチのデザート「花豆ココナッツプリン」に飾られた小花を指しながら教えてくれた、清水やよいさんもその一人。自家農園で有機農業を営む清水さんは食堂に野菜を提供する一方、自身も月一度シェフとして食堂の厨房に立ちます。「農園で働くだけでは周りが見えない」と清水さん。コラボ食堂に野菜を提供したり、販売したり、また、シェフとしてお客さんと接することで、消費者の考えを知る良い機会になったと言います。

また、コラボ食堂では毎月第3日曜日に地元農産物の直売「コラボ市」を行っています。食堂近くの「松尾町フードサロン」には誰でも借りられる食品加工所やワンデイ・パティシエ工房があり、利用者はここで作った食品を売ることもできます。

コラボ食堂は、単に食事を提供する場でなく、生産者と消費者の食への関心と思いが交差する場所とも言えます。コラボ食堂と同じワンデイシェフ・システムを取り入れたレストランは、全国に21店舗あります。近くのコミュニティー・レストランで地域の食を身近に感じてみてはいかがでしょうか。

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第3日曜に地元の野菜を直売するファーマーズマーケット「コラボ市」 photo by Angie Amasawa


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このニュースの地域

長野、日本 (日本

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