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火星で塩水、土星衛星でシリカを発見、生命の起源の謎に迫る

2015.04.16 ささ とも

Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Eric Vanderpool

英国科学誌ネイチャーが4月13日付の電子版で、米国航空宇宙局(NASA)の無人探査車「キュリオシティ」が、火星の地表付近で塩の一種の過塩素酸塩を発見したと発表しました。

この化合物は大気中の水蒸気を吸収して塩水となったり、水の凝固点を下げたりする性質があります。研究チームは、地表近くの環境条件を測定した大気の湿度と温度のデータを分析した結果、夜間に塩水になっていると推定しました。しかし、表面温度が低すぎて微生物は存在しないだろうと慎重な姿勢をとっています。

その1カ月前の3月12日付の同誌は、土星の惑星「エンセラダス」の地下に海があり、海底熱水活動が起きている可能性があると発表しています。NASAと欧州宇宙機関(ESA)の土星探査機「カッシーニ」に搭載された宇宙塵(じん)分析器で、エンセラダスの地下水から噴出した氷の粒子を分析すると、水晶の一種シリカであることが明らかになったのです。シリカ粒子は地下海底での高温熱水反応で形成されたと推測されています。熱水活動があるということは原始的な微生物の存在が示唆されます。

その根拠は、1977年の地球にさかのぼります。当時、ガラパゴス諸島沖を航行していた米国潜水調査船「アルビン号」が、海底の熱水噴出孔(地球の内部で熱せられた水が湧き出ている場所)で微生物が生息し、それを食する貝類、エビなどの生物がいることを発見しました。それ以来、太平洋や大西洋などの海底熱水噴出孔で生物群集が多く見つかっています。地球海底の熱水噴出孔によく似た環境があるエンセラダスに生命が存在し、ひいては他の太陽系天体でも見つかるかもしれないというわけです。

日本でも、2014年12月に小惑星探査機「はやぶさ2」がH-2Aロケット26号機で打ち上げられました。「はやぶさ2」は、2010年6月に地球に戻った「はやぶさ」の後継機にあたります。そのとき「はやぶさ」が持ち帰ったのがS型小惑星イトカワの表面の物質です。「はやぶさ2」のミッションは、イトカワよりも有機物や含水鉱物が多くあると考えられるC型小惑星の「1999JU3」から物質を採取して日本に持ち帰ること。2018年に小惑星「1999JU3」に到着し、地球への帰還予定は2020年12月。生命の起源の謎を解く手がかりになると期待されています。



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