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学生環境コンペが目指す「技術+ビジネス」の問題解決法

2013.04.10 アマサワエンジィ

コンペで3位に入賞したUpcycledチームのメンバーと(写真左がリポーターのアマサワさん)

4月4日、米ワシントン大学で今年5回目となるEnvironmental Innovation Challenge(主催:Buerk Center forEntrepreneurship)がシアトル市内で行われました。学生の起業を支援する目的で行われるビジネスプランコンペはアメリカ各地の大学でよく見られますが、このコンペは特に環境問題を解決する技術開発にスポットライトをあてたもの。どんなに卓越した技術や研究であっても、実際に市場に出回り、人々のニーズに合致しなければ社会に貢献したとは言えません。そこで、具体的なビジネスプランまでを学生に考えさせようと、このコンペは誕生しました。

コンペの過程としては、まずは学生が中心となって環境問題を解決するクリーン技術を開発し、プロトタイプを製造。さらに技術を売り出すためのビジネスプランを練り、投資家や起業家からなる115人の審査員の前で開発した技術のオリジナリティーや将来性について2分間の口頭発表と技術のデモンストレーションを行い、その場で最終審査が行われます。

審査では技術の優秀さよりも問題解決に向けたポテンシャル能力が重視されます。技術の市場進出に向けてのビジネスプラン、そして実際にその技術が市場に出回った際、開発のテーマとした問題の解決や人々の生活環境にどのくらい影響を及ぼすことが出来るかが主に評価されます。

最優秀賞チームには賞金1万ドル(約99万円)が贈られますが、過去の受賞チームには起業に至ったチームもいくつかあります。例えば、2012年の最優秀賞に輝いたGreen Innovative Safety Technologies (GIST) は廃タイヤをリサイクルし、高速道路の防護柵を製造。廃棄物を再利用することで、従来のコンクリート製防護柵を製造するための資材の節約につながり、衝突の際の衝撃を和らげる効果もあります。コンペで勝ち取った賞金に加え、会場で出会った投資家らから出資を募り、現在はプロトタイプの製品化に向け、性能向上を目指した試験を行っているそうです。

さて、実は今回私も「Upcycled」というチームの一員としてコンペに参加しました。技術のアイデアは以前地球ニュースでも取り上げられた「バーべキューのためのエコ燃料『紙薪』」から思いついたもの。全世帯の49%が薪で調理をしているインドのために、家庭で米やサトウキビなどの農業副産物から簡単に燃料を作れないかと思い、開発に至りました。結果は見事に3位入賞! 他チームと比べてローテクながらも、技術のシンプルさに好評を頂きました。ある審査員からは、「インドに12億人の人々が暮らしていることを忘れてはいけないね。技術は先進国のためだけにあるのではないから、君たちの技術が少しでもインドに貢献出来たらいいと思ったよ」というコメントを頂きました。さらに、今年は地元テレビ局が同コンペを特集として取り上げ、私のチームもインタビューを受け、テレビ出演まで叶いました。

技術者として勉強してきた私にとって、技術をいかに世に送り出すかを計画するのはとても新鮮で興味深く、深く考えさせられました。世界が抱える様々な問題は、多方面から向き合って行かなければいかないということを実感した経験となりました。



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このニュースの地域

ワシントン、アメリカ (南北アメリカ

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