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身体の自由を取り戻す!  東北発ベンチャーが開発した奇跡の「足こぎ車いす」

2014.07.08 瀬戸 義章

東京ビッグサイトで展示された足こぎ車いす「Profhand(プロファンド)」
photo by yoshiaki seto

仙台市に、魔法のような車いすを開発したベンチャー企業がありました。

介護・医療器具メーカーのTESSが作り出したのは、病気やけがなどで身体が麻痺(まひ)し、歩行困難に陥ってしまった人のためのリハビリテーション用「足こぎ車いす」です。あなたは不思議に思うかもしれません。そもそも足が不自由な人が、車いすを使うはずです。それなのに、なぜ「足こぎ」なのでしょうか。

「もともと私は東北大で、電気を使った治療の研究に協力していたんです。その研究の一環で、電動足こぎ車いすが試作されていました。ペダルを電気の力で回すことで、患者さんに足の動きを取り戻してもらおうという狙いです」

TESS代表の鈴木堅之さんは、足こぎ車いす開発の経緯をこう話します。

「私が全身麻痺の患者さんに、電動車いすを使ってもらった時のことです。準備をして、さあスイッチをオンしようと思った瞬間、その患者さんが足を動かして、前に進み始めたんです。電気を付ける前にですよ? そんなことができるはずない方だったので、大変驚きました」

人間には「原始歩行」という本能が備わっており、立つことができない乳児でも、身体を支えて前かがみにさせれば、自然と足を交互に出すそうです。調査の結果、足こぎ車いすは、この力を引き出している事が分かりました。

今までの杖や車いすが「衰えた身体機能を補助するための器具」であったのに対し、この足こぎ車いすは「衰えた身体機能を回復させる器具」なのです。肺の疾病で歩くことさえ困難だった患者さんが、わずか一週間の利用で退院できた。いままで自分の意志で動くことさえできなかった子どもが、車いすで病棟を走りまわっている。こういった奇跡的な事例が、数多く報告されています。

現行モデルである足こぎ車いす「Profhand(プロファンド)」の販売は、2009年にスタートしました。現在では、日本だけなくアメリカやヨーロッパで展開されており、ODAを通じた途上国での利用も始まっています。TESS代表の鈴木堅之さんは、今年の2月に、中小企業基盤整備機構による「JAPAN Venture Awrds2014」の経済産業大臣賞を受賞しました。

足こぎ車いすの実物は、そごう横浜9階にあるショールームで試乗することができます。本当に、そんな魔法のようなことが起きるの? 気になる方は、ぜひ、"足"を運んでみてください。



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