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「技術で途上国の人々の生活を変える」NPOコペルニクの挑戦

2012.06.30 瀬戸 義章

コペルニクが東ティモールに届けた「Qドラム」。一度に3日分の水を運ぶ事ができる photo by yoshiaki seto

6月8日、渋谷区広尾のJICA地球ひろばで米国NPO法人コペルニク(共同創設者/CEO・中村俊裕)主催のワークショップが行われました。会場には、バイオマス燃料を使う調理用コンロや、蛇口付きのバケツ型浄水器、ソーラーパネルで発電するランタンなど、水道も電気もガスもない場所で活躍する製品たちが展示されていました。

コペルニクは、「技術で途上国の人々の生活を変える」ことを目指して活動しているNPOです。彼らは「技術」と、最貧困の地で活動する「NGO」、そして支援者からの「寄付」をウェブサイト上でマッチングしています。

まず、途上国のNGOがコペルニクのウェブサイトを見て、自分たちの抱えている問題を解決してくれそうなテクノロジーを探します。そして「ソーラーランタンで東ティモールのアタウロ島に住む200世帯の生活を変える」といったプロジェクトをコペルニクに対し提案します。承認されたプロジェクトはウェブサイト上に掲載され、人々の寄付を募ります。そして、金額が揃い次第、製品が現地に送られる、という仕組みです。現在、プロジェクトは世界11カ国46カ所で行われ、大きな成果を上げています。

なぜ「技術」が途上国の人々の生活を変えることができるのでしょうか?

コンロの場合、その理由は、あちらのキッチンをのぞけば一目瞭然です。私が東ティモールで見た、かやぶき屋根の調理場は、窓も煙突もありませんでした。昼間でもまっ暗です。そんな中で、石を並べたかまどで焚き火をするとどうなるでしょう。もちろん、もうもうと立ちこめる煙に燻(いぶ)されながら、料理をすることになります。調理の煙による健康被害は想像以上に深刻で、世界中で年間150万人の死亡者がでているそうです。これは、マラリアによる死亡者を超える数字です。

燃焼効率のよいコンロを使えば、煙があまり発生せず、加熱温度も高いため調理時間が短縮できて、健康被害を減らすことができます。さらに、バイオマス燃料(木くずやココナツの殻、トウモロコシの芯など)を利用することができるので、薪を購入する費用や、伐採する時間を別のことに充てられます。さらに途上国で問題となっている森林伐採の抑制にも繋がります。

ハイテク機器ばかりが、世界を変えるプロダクトではありません。単純だけれども、丈夫で、インフラの乏しい場所でも活躍できる製品が、多くの人々の命を救い、生活を豊かにしているのです。

ものづくりに秀でた日本ならば、こうした製品をさらに開発し広めることができるのではないでしょうか。そんなコンセプトで、昨年コペルニクが関連団体とともに開催したのが「See-Dコンテスト」です。エンジニアやデザイナー、マーケターや学生などの混合チームが、実際に東ティモールへと赴き、現地の生活者にとって必要なモノとしくみを提案し合いました。ココナツを使ったお酒づくりや、トウモロコシの芯を炭化させ鉛筆にするアイデア、キックボードの車輪や換気扇などの「まわるもの」に取り付け可能な小型発電ユニットなどが受賞し、実際に事業化が進んでいます。

国連の統計によると、1日2ドル以下で暮らす人々は、世界に26億人いるそうです。より多くの人々に「喜ばれる」ものづくりに興味のある方は、第2回See-Dコンテストへと参加されてみてはいかがでしょうか。まずは7月4日に千代田区の世界銀行情報センターで説明会が行われます。



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