直接、原料や雑貨製品を公正な価格で、持続的に購入するという「フェア・トレード」。企業が製品の原料や店頭で取り扱うユニークな商品の供給先を確保する一方で、「取引先」の土地の人々が経済的に自立する道を開いています。こういった活動のベースとなるのが「CSR (Corporate Social Responsibility=企業の社会責任)」という考え方です。アジアや南米で児童労働を利用してつくられた製品が消費者にボイコットされ、その企業の評価が著しく下がっていることなどに象徴されるように、今や欧米ではこの考え方を取り入れることなしにビジネスを成立させることは出来ないと言われています。
BSRの最高責任者 ロバート・ダン氏は、総会テーマにおける「strategies(戦略)」を、“strategies that work for the benefit of everyone- that add value for all stakeholders((参加者=民間セクターが)消費者、投資家、地域住民などの企業の利害関係者、いわゆるステークホルダーのための利益を生む戦略)”と説明。そして総会期間中は、企業からの参加者がそれぞれ立場でかかわりを持つステークホルダーと良好な関係を構築する上で必要な「戦略」を学べるよう、多数のワークショップが開催されました。
今回いくつかのワークショップに参加して一番興味深かったのは、大企業が別の大企業やNPO等の民間団体と連携し、互いの利点を最大限に活かした効果的な社会貢献活動を実践しているということです。
例えば「コミュニティにおける教育的課題解決のためのテクノロジー活用(Leveraging Technology to Address Community Education Needs)」と題されたセッション。ここではインテル社 インテル財団 エグゼクティブ・ディレクターのピーター・ブロフマン氏により、同社のプロジェクト“ティーチ・トゥ・ザ・フューチャー (Teach to the Future)*”が紹介されました。
インテル社は、コミュニティの教育的課題への取り組みという「共通の目標」を持つほかの企業、民間財団そしてNPOと提携。企業は物資やサービス、民間財団は資金等、そしてNPOは具体的なノウハウ提供というように、それぞれの得意分野に応じて役割を分担することにより、効率良く目標を達成していると言います。
参加主体ごとのポリシーのちがいやコミュニケーションなど、第三者とのコラボレーションに伴う新たな課題も勿論ありますが、良好なパートナーシップのもと、「全ての関係者」が努力することで「共通の目標」を達成=“WIN-WIN for everyone*”が実現していることに、大変刺激を受けました。アメリカではひとつの企業の提案により、競合他社や、業種も規模もまったく異なる企業・団体間で協力体制がつくられ、社会に大きな貢献がなされているのです。
著者の斎藤氏はコロンビア大学国際関係大学院にて修士号取得後、企業の社会責任度調査・格付けを行うシンクタンク「経済優先順位研究所(CEP: Council on Economic Priorities)等に勤務。
NY在住の社会責任コンサルタント。企業とNPO(非営利団体)と市民をインターネットで繋ぎ、社会を活性化することを目的とした(株)アース・セクターの共同経営者。
著書では、企業とNPOの戦略的提携、環境や社会に配慮することは企業の収益に繋がることなど「企業の社会責任」の最新事情を分かりやすく報告。(この分野の知識が全くない、という方に特にお薦めしたい一冊。)
1992年に設立されたアメリカ、サンフランシスコに本部を置く会員制組織。「企業が倫理、コミュニティ、環境へ配慮し、持続可能なかたちで利益を得るように、会員企業を支援すること (斎藤槙氏著 「企業評価の新しいモノサシ」 生産性出版より引用)」をミッションとする。
参加企業は1,400以上。2000年度の予算は700万ドル(約7億6千万円/$1=109円として)。
BSR総会は年に一度、3日間に渡って開催されるイベント。過去にはクリントン大統領や、アイルランド初の女性大統領から国連人権高等弁務官となったメリー・ロビンソン氏などがスピーカーとして参加した。
次回は2001年11月7-9日 ワシントン州シアトルにて開催を予定。テーマは「企業の社会責任の未来を考える(Learning for the Future of Corporate Social Responsibility)」。
“From the Ground Up: Building Your Business Responsibility”
若者たちがビジネスを始めるのを支援するNPO “ユース・ベンチャー”で活動する高校生たちが参加。セッションスピーカーの1人は、大学院の教授から資金などの支援を受けながら、飲料事業を3年間で売上3億5千万ドルの規模にまで成長させた「オネストティー」社社長のセス・ゴールドマン氏。
学校でコンピュータを有効に活用すること、結果として子供たちがより効果的に学ぶ機会をつくることを目的に教員をトレーニングするプログラムを運営。アメリカでは1,000日間で10万人、世界では20ヶ国で40万人の教員のトレーニングを目標としている。
参加企業: ヒューレット・パッカード、IBM、東芝 他多数、参加基金: ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金、参加NPO:ASSET(Arizona School Service Through Educational Technology)など教育関連からも多数。