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アメリカ、ロッキー山脈のほぼ中央、標高約2,200mの高地。冬の外気温は-44℃、年平均気温はわずかに零度を上回るに過ぎず、一年中降りる霜と激しい乾燥。そんな厳しい自然環境の中に、資源とエネルギー効率に関する世界的シンクタンクであるロッキーマウンテン研究所(以下RMI)があります。この必ずしも便利・快適とは言えない場所に、RMIの中心人物であり同研究所の所長であるエイモリー・B・ロビンス博士をはじめ、エネルギーに関する第一級の研究者が世界中から集まり、グリーンディベロップメントに関する建築のデザインやコンサルティングなどを行っています。研究所は120坪(372平方メートル)の敷地内に住居、バナナなどが茂る熱帯庭園、リサーチセンターを抱える複合施設です。

ロッキーマウンテン研究所の正面入り口。ここに、世界中から研究者が集まってくる。 |
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短期的な労働の生産性よりも、長期的な資源の生産性を高める技術に立脚した新しい社会へ向けたパラダイムである”Natural Capitalism”(自然をモデルとした資本主義)や、環境負荷の少ない建築と開発を目指す”Green development”の研究、「分散型の小さなエネルギーシステムの方が経済効率が高く、利潤を生み出す」ということを豊富な事例に基づいて立証した”Small is profitable”の研究、炭素繊維を使った軽い車体を使い、燃料電池を導入するなどエネルギー効率の高いクルマの開発を進める”Hyper Car”プロジェクトなど、今まさに世界が直面している課題を解決する研究を80年代半ばからおこなってきています。
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研究所正面左側を見た図。外観も地元の石、木、土など自然素材を生かしている。一目で有機的な構造だということがわかることが特徴的だ。 |
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研究所の中程にあるリビングルーム。スーパーウィンドウと厚い壁によって冬でも温かい。 |
RMIの最も大きな特徴は、研究所の建築そのものがグリーンビルディングの可能性を実証していることでしょう。この建物では従来型の暖房設備は使っていません。99%以上の熱はパッシブソーラー(窓を大きくしたり、効果的な蓄熱材を使うなどの受動的な太陽エネルギー利用)により獲得しています。たとえば建物の外壁は30cmほどの厚さがあります。窓ガラスには、フィルムや、特殊なガスが充填された、いくつもの層で形成され優れた断熱効果を発揮するスーパーウィンドウを使用しています。当然通常の窓より初期投資はかかりますが、たとえばファンやパイプ、ポンプ、タンク、ワイヤ、コントロールパネルなど、暖房のために必要な別のコストが必要なくなるので、スーパーウィンドウのほうが安くつくこともあるそうです。
16$/平方メートル(床面積)の追加投資で、暖房や温水のためのエネルギーの99%、家庭用電気の90%を賄えるとのことで、月々の電気代はなんと約5$! 太陽電池パネルで生産された電力を電力会社が買い取ってくれているため、研究所から電力会社に「領収書」を送ることもあるそうです。

朝早くから私たちを案内してくださったロビンス博士。 |
ロビンス博士は言います。「これらを実現するために余計にかかるコストは、1983年の技術でも10ヶ月で回収できます。私たちは20年以上前の技術で、よりうまくやっていけるということです(笑)。一般家庭ならもっと簡単にできるでしょう。」
この話は、ともすれば技術の進歩にばかり目を向けてしまいがちな私たちにとって興味深いものです。
博士はさらに続けます。
「何でこんなところに研究所をつくったのだ?という人もいますが、鍵をかける必要がないくらい安全ですし、とても住みやすいところです。ただし、建物の中では、ですが(笑)。」
実際、私たちが訪ねたときも研究所には鍵はかかっていませんでした。博士をはじめとした研究者の人柄も温かく、サステナビリティに貢献したいと志す若い学生をインターンとして受け入れるなど、非常にオープンな研究所なのです。
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研究所内でひときわめだつ、緑の空間はまるでジャングルのよう。成長しすぎたバナナの木がちょうど剪定されていた。 |
最後に、ロビンス博士から日本の若者へのメッセージを頂きました。
「Green Developmentに関心を寄せる若者が増えていることを本当にうれしく思っています。ナチュラルキャピタリズム(自然資本主義)というのは非常に勇気づけられますし、また興味深いテーマだと思っています。世界の変化は、そのスピードと激しさをさらに増しており、より不確実な時代に生きることを覚悟する必要があるでしょう。しかし、悲観することはありません。さまざまな兆候が世界各地で同時多発的に起こり始めています。日本は、経験や技術、文化など、世界に貢献できる可能性に溢れています。ナチュラルキャピタリズムの実現に、西洋とは別の角度から光を当てることができます。また、あなた達自身、若者自身が希望なのだということを忘れないでください。世界を変える選択をするかどうかは、常にあなた達自身の問題なのです。」
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