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2017.11.10 | 宮原 桃子

赤ちゃんが生まれたら1本の木を植えよう! ストーリーのあるドイツの緑化プロジェクト

赤ちゃん誕生を記念してリンゴの木を植えた、創設者のカイ・ギルドホーン氏  ©mundraub.org

「一本の木を植えよう。あなたの子どもに。あなたの街で」。こんなキャッチフレーズで、新しいお父さん・お母さんの心をつかんでいるドイツの緑化プロジェクトがあります。企画しているドイツの「ムントラウプ」は、街で放置されている果樹の情報をオンラインで登録し、果物をみんなで有効にシェアするプラットフォームを運営しています(以前地球ニュースでも紹介)。ムントラウプは、コミュニティで植樹をする活動も展開しており、その一環で始まったのが「後継者(Nachwuchs)」プロジェクト。赤ちゃん誕生を記念して、赤ちゃんの名前がついた果樹を、親が植えて育てていくことができます。昨年、創設者のカイ・ギルドホーン氏が、息子の誕生を記念してリンゴの木を植えたことをきっかけにスタートしました。

子どもの名前が入った札がついた木  ©mundraub.org

ムントラウプに100~150ユーロの寄付をすると、ムントラウプが地域に適した果樹と、子どもの名前が入った札を用意してくれ、地域のコミュニティスペースに植えることができます。木を植えて手入れをしていくのも親自身で、子どもが少し大きくなれば一緒に育てて、果物の収穫もできるでしょう。

現在のところ、ベルリン市の協力により市内パンコウ地区の公園と、ドイツのスーパーマーケットチェーン「カウフランド」が提供してくれた敷地で、植樹が行われています。これまで18組の家族が、リンゴや洋梨、プラム、サクランボなどの果樹を植えました。赤ちゃんが生まれたばかりという家族もいれば、すでに大きくなりつつある子どもと一緒に参加する家族もいます。

子どもの誕生を記念して、木を植える人びと(ベルリン)  ©mundraub.org

木を植えた後は、木の手入れの仕方を学ぶ講座を初年度に受けられるほか、専門家のアドバイスを受けたり、 同じ場所に木を植えた人びとと情報交換をしたり、ともにイベントに参加したりしながら、継続的に活動しています。ムントラウプは、今後ベルリン以外の地域にも展開する予定で、木を植える土地を確保するべく、自治体や企業などとのパートナーシップを模索しています。

創設者のカイ・ギルドホーン氏は、こう語っています。「ある世代で木を植えれば、3世代が収穫できるでしょう。これは、世代間で結ばれた契約のようなものです。次世代のために木を植えることは、自然と景観を守り、コミュニティを創ります。そして、人びとの環境への意識や責任感が育ちます」

創設者のカイ・ギルドホーン氏  ©mundraub.org

このプロジェクトの魅力は、ただ木を植えることや記念になることだけではなく、それを家族やコミュニティが一緒になって、長い時間をかけて自分たちの手で育てていくことです。子どもの誕生とともに木を植えることで、家族の温かい思い出と一大プロジェクトが生まれ、街の緑が増え、コミュニティとのつながりができ、人びとの中にコミュニティや自然への想いと責任感が生まれます。

街、地域、そして世界中の緑を増やしていく上で、ただ植えて増やすだけでは、人間はまた緑を大切にせず壊してしまうかもしれません。そこに「ともに育っていく、育てていく」という想いや当事者意識が地域で生まれることこそ、一番大切なカギなのかもしれません。

©smilla4

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宮原 桃子
宮原 桃子(みやはら ももこ) 地球リポーター

日本貿易振興機構(JETRO)に勤務後、フェアトレードファッション・ブランド「People Tree」にて、バングラデシュ・インド・ネパールにおける生産管理に従事。現在は、企業のサステナビリティ推進を支援する「 エコネットワークス」に、コンテンツプロジェクトマネージャーとして参画。ライフワークとして、フェアトレード絵本「ムクリのにじいろTシャツ」を制作したほか、親子向けにフェアトレードを学ぶワークショップを企画する「フェアトレードガーデン世田谷」(本部・東京)の運営に携わる。社会や世界で起きていることを「自分ごと」として感じ、考え、行動する。そんなきっかけになるような記事をお届けしたいと思います。

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