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2019.09.13 | 宮原 桃子

オランダ発エシカルなスマホ「フェアフォン」、第3世代が登場

©︎Fairphone

オーガニックの野菜や果物、サステナブルな方法で捕られた魚、フェアトレードの洋服や雑貨…。今、世界中でエシカルやサステナブルな商品の選択肢は、急速に増え続けています。そして、私たちの暮らしに欠かせないアイテムと言えるスマホにも、エシカルなスマホがあるのをご存じでしょうか?

2013年に世界で初めて「エシカルなモジュール式スマホ」として発売された、オランダの「フェアフォン(Fairphone)」。これまで欧州を中心に、意識の高いエシカル・コンシューマー(倫理的な消費者)の支持を受けて広まってきましたが、8月にさらに機能がパワーアップした第3世代「Fairphone3」(小売希望価格450ユーロ<約5万3000円>)が発売され、大きな関心を集めています。

フェアフォンはモジュール式で設計されているため、もし壊れた場合は、ディスプレイやバッテリー、カメラなど該当するパーツだけを買い替えればいいので、誰でも簡単に修理できます。これにより、製品を長く使い続けることができ、E-waste(電子製品の廃棄物)やCO2の削減につながります。

©︎Fairphone

原材料や生産過程についても、サステナビリティを追求しています。スマホなどの電子機器には、レアメタルを含むさまざまな鉱物が使われています。フェアフォン社によると、特に「スズ、タンタル、タングステン、金」は、その多くが採掘されるアフリカのコンゴ民主共和国において、紛争の資金源となっていることが多いそうです。また、鉱物の採掘現場では、低賃金労働や劣悪な労働環境、土壌や水の汚染などの問題も指摘されています。

©︎Fairphone

そこでフェアフォンでは、原料にフェアトレード認証ゴールドを使用しているほか、コンフリクト・フリー(紛争の資金源とならない)のスズやタングステン、リサイクルされたプラスチックや銅を使っています。

また、最終組み立てを担う台湾の委託工場では、従業員の労働環境や健康、安全性などに配慮しているほか、法定最低賃金と実際に必要な生活賃金(最低限の生活を維持するのに必要な賃金)とのギャップを埋めるためにボーナスを支給しているそうです。こうした施策は、フェアフォン社と工場で、従業員満足度調査を行い、そこから得た意見やニーズに基づいて行われています。

©︎Fairphone

同社CEOのエファ・ガウウェンス氏は、こう語ります。

「Fairphone3は、単なるスマホではありません。今の社会の短期的な物の考え方や、人や地球よりも利益を優先するような考え方を変えるものです。私たちは、ビジネスにおいて人と地球に配慮することが当たり前になる、そんな経済を創っていきたいと思っています。

Fairphoneを持つことは、あなたの価値観を示すステートメントになります。より良い未来を創っていることを誇りに思えるでしょう。

Fairphone3には、現代のスマホに求められるすべての機能が備わっています。でも、私はこう思います。 世界で一番のスマホは要りません。世界にとって一番良いものが入っているスマホが欲しいのです」

©︎Fairphone

ガウウェンス氏が言う通り、どんなモノを買って使うかは、私たちの価値観を表明するものです。

モノを選ぶことは、未来を選ぶこと。

毎日使うスマホだからこそ、エシカルなものを選びたいですね。エシカルやサステナブルといった概念が日本でも広まる中、フェアフォンが日本に上陸する日もそう遠くないかもしれません。

宮原 桃子
宮原 桃子(みやはら ももこ) 地球リポーター

日本貿易振興機構(JETRO)に勤務後、フェアトレードファッション・ブランド「People Tree」にて、バングラデシュ・インド・ネパールにおける生産管理に従事。現在は、企業のサステナビリティ推進を支援する「 エコネットワークス」に、コンテンツプロジェクトマネージャーとして参画。ライフワークとして、フェアトレード絵本「ムクリのにじいろTシャツ」を制作したほか、親子向けにフェアトレードを学ぶワークショップを企画する「フェアトレードガーデン世田谷」(本部・東京)の運営に携わる。社会や世界で起きていることを「自分ごと」として感じ、考え、行動する。そんなきっかけになるような記事をお届けしたいと思います。

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