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2017.12.13 | 河内 秀子

宿泊所探しはアプリで便利に ホームレスを凍死から救うアプリが誕生

冷たいみぞれ混じりの雪が降り、夜は零下の日が続く、ベルリン。毎年11月から3月末まで、ベルリンでは、ホームレスの人たちの凍死を防ぐために様々なプロジェクトがスタートします。

プロテスタント教会系の団体「Stadtmission」は、東西ドイツ再統一後の1994年から、夜にミニバスで市内を見回ってホームレスの人たちに声をかけ、緊急宿泊施設や病院へと送り届けています。2009年からはドイツ赤十字も同様の活動をスタート。ほかにも温かい食事を無料で提供したり、暖かい洋服を寄付で集めたり。ここ数年、宿泊施設や受け入れ施設も増えているそうですが、それでも提供できるベッドの総数は1日700台前後。現在6000人以上と言われている市内のホームレスの約1割にしかなりません。

せっかく施設へ辿(たど)り着いても、ペットがいるなどいろいろな条件から宿泊や収容ができないということも。情報を把握し、少しでも暖かい場所で生き延びてほしい―。そんな思いから今年、ベルリンのITスタートアップ企業「BIM Zweipunktnull」と、「Kältehilfe」のテレフォンサービスを担当している社会的企業「GEBEWO」が「Kältehilfe(寒さからの救助)アプリ」を開発し、話題を呼んでいます。

「ホームレスの人たちが、唯一持っている財産がスマートフォンです」と、クリスティン・フリッチェさん。彼女が施設長を務める女性専用宿泊施設は、ベッドが10台。シャワーや洗濯機もあり、温かい食事も提供され、身分証明書などを見せる必要もありません。しかし、こういった施設がどこにあるか知らない人も多いそう。「昨年、市内全部の宿泊施設や、夜通し滞在できるナイトカフェなどをまとめたハンドブックを作ったのですが、荷物になると言われることが多くて。しかも文字ばかりで、外国人には見づらい。じゃあアプリにすれば、携帯もしやすく使いやすいのでは? と思ったんです」

大学時代に5年半、ここでボランティアをし、現在所長になって2年目というクリスティン・フリッチェさん。「ホームレスでも特に女性は、冬場に限らず寝場所を確保することが重要ですから、朝から計画的に動いている人が多いですね。ここ数年どの施設も満室。10代から90代まで幅広く、国籍も様々。日本の人が来たこともありますよ」

アプリは、▼何を探しているのか=宿泊所、日中滞在できる場所、食事、アドバイザー、医療機関、洋服、シャワーや洗濯機▼場所=ベルリンの全12区の中から1カ所を選ぶ▼滞在希望曜日▼性別=女性のみ、男性のみ、男女混合▼未成年の子どもの同行可・不可、ドラッグ中毒かどうか、健康保険未加入の移民かどうか▼ペットの可・不可▼バリアフリーの有無などの項目をチェックするだけで、条件に合う施設の住所や電話番号、アクセス方法が表示されるという仕組み。

残念ながらまだ、その施設に空きがあるかどうかをリアルタイムで更新する仕組みはないものの、電話などで情報を集め、できるかぎり最新の情報が提供されるようになっています。特に女性は、これを使って宿泊施設を事前に予約するなど、計画的に使っているそう。

このアプリは、ホームレス本人だけでなく、道端で凍えているホームレスの人を見かけて、サポートしたいと思った人たちにもぜひ活用してもらいたいそうです。実際、何かできることがあれば助けたいものの、どうしていいかわからない人も多いのです。

共同キッチン。冷蔵庫なども自由に使うことができる。女性たちはみんなで食事を作ることも多いそうだ
リビング。テレビをみたりタバコを吸うこともできる。施設は19時から朝の8時まで滞在可能。洗濯以外は無料だ。連続で14日間までの滞在が許されている。役所やセラピスト、病院などへの付き添いサービスも

ここ数年、劇的に増加しているホームレス。ベルリンでは急激な家賃の高騰で、年金が不足し、住む場所がなくなったという人も。一度社会のシステムからこぼれ落ちてしまうと、自力でそこに戻るのはとても大変なことです。

また、ベルリンでは東欧からやってくる人が多く、日中仕事はあっても夜寝る場所がないという人も。ドイツ語も片言で情報の少ない彼らのために、このアプリは英語版での展開も考えられているそうです。

河内 秀子
河内 秀子(かわち ひでこ) 地球リポーター

ドイツ ベルリン在住 東京出身。2000年からベルリン在住。ベルリン美術大学在学中から、ライター活動を始める。 現在雑誌『 Pen』や『 料理通信』『 Young Germany』『#casa』などでもベルリンやドイツの情報を発信。テレビのコーディネートも多数。http://www.berlinbau.net/

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