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2019.12.31 | 河内 秀子

ドイツ名物、大晦日のカウントダウン花火が、大気を汚染?! 禁止地区が相次ぐ

2019年、ブランデンブルク門前で開催されたベルリンの壁崩壊30周年イベント時の打ち上げ花火。パリのように、個人の花火打ち上げは禁止し、こういった大型花火のみにすべき、という意見も

ドイツの大晦日(おおみそか)の風物詩といえば「花火」。ドイツでは個人向けの打ち上げ花火の販売が許可されているのは、1年にたった3日だけ。大晦日からかぞえて平日3日前から販売が始まり、新年になるタイミングで、町中の人が通りに出て、ここぞとばかりに自らロケット花火を上げまくり、爆竹を投げまくって新しい年を祝います。場所によっては、花火の煙で前が見えなくなるほどです。

しかし、ここ数年、その「伝統」が環境汚染やペットへの騒音被害をもたらしているとも指摘されており、今年2019年の年末は大手スーパーマーケットが販売中止を打ち出し、花火禁止を厳しく取り締まる場所も出てきて、波紋を呼んでいます。

ドイツ連邦環境庁の発表によれば、大晦日の夜、ドイツ中で健康を害する粒子状物質の汚染度は爆発的にアップするそう。花火による粒子状物質(粉じん)の排出量は年間約4200トンで、その大部分が大晦日のたった数時間の間に排出されています。これはドイツ全体の約2%、道路交通が排出する量の16%にもあたり、多くの場所で、元旦、年が明けた時の空気が最も汚染されているという結果が出ています。

また、花火の燃えかすや包装のゴミなどの問題もあります。大晦日のロケット花火や爆竹などは、飛んでいくということもあって、大抵やりっぱなし。ベルリンをはじめとするドイツ五大都市の街中では、元旦の朝に大規模な清掃活動が行われ、約191トンのゴミが回収されています。しかし、花火の燃えかすに残っている様々な化学物質は天気によっては雨や雪とともに、川や地面に流れ込んでしまうため、花火を上げたら、自分でゴミを処理するよう呼びかけています。最近では花火メーカーも、花火の包装や本体にも、ビニールやプラスチックを出来る限り使わないよう心がけていると言いますが、構造上、プラスチック不使用は難しそうです。

12月下旬からスタートする「花火」販売の垂れ幕

オランダ、ベルギーとの国境を有するアーヘンでは、2メートル以上の高さに上がる花火を、2019年から全面的に禁止。ドイツ初の世界遺産となった大聖堂など、歴史的な建物が集まる同町で大晦日の花火が原因で火災が起き、教会の祭壇が損傷したことから今回の決定につながりました。

ブランデンブルク門で今年のベルリンの壁崩壊30年イベントで挙げられた花火

ベルリンでは、大規模な新年カウントダウンパーティーが開催されているブランデンブルク門の周辺や、ここ数年激化して警備の警察官や消防隊にロケット花火が投げつけられたテレビ塔の周辺やパラス通りの周辺で、花火の禁止が決定しています。しかし、このパラス通り周辺では、一部の家だけが禁止地区に指定された通りもあり「禁止されていない地区から、禁止された地区に向かってロケット花火が投げ込まれるに決まっている。こんな禁止はナンセンス! 無意味だ!」と、住民から怒りの声が上がっています。

実は、今年初めには、ベルリン市内中心部で全面的に禁止するという話もあったのですが、ベルリン市都市開発大臣のアンドレアス・ガイゼル氏は「楽しく迎える新年に、市民に禁止を押し付けたくない」と全面禁止案には消極的。

今年12月に実施されたドイツ全国区での世論調査では、57%が環境保護と治安から、花火の全面禁止に賛成しているという結果も出ていますが、警察はまず今年の状況を見て、禁止地区を広げるかどうか考えるとのこと。12月29日、すでに8人が禁止地区で花火を上げたとして逮捕されています。かなり厳しい処置が大々的に報道されたことで、無謀な花火や、違法な花火の使用への抑止効果はありそうです。

安売りスーパーなどで販売されている花火セット。日本に比べてサイズも大きく、強力なロケット花火が充実している

また、ドイツ大手のスーパーマーケットチェーン、REWEやEdekaの多くの店舗が、今年は大晦日の花火を販売しないと発表。環境だけでなく、騒音によるペットへの影響なども考慮してのことだとしています。

大晦日の伝統ーというほどのものではありませんが、花火自体が全くなくなってしまうのも寂しいもの。数を減らし、安全に、みんなが落ち着いて楽しめるような年越しの形になるといいですね!

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河内 秀子
河内 秀子(かわち ひでこ) 地球リポーター

ドイツ ベルリン在住 東京出身。2000年からベルリン在住。ベルリン美術大学在学中から、ライター活動を始める。 現在雑誌『 Pen』や『 料理通信』『 Young Germany』『#casa』などでもベルリンやドイツの情報を発信。テレビのコーディネートも多数。http://www.berlinbau.net/

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