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商品にスマホをかざすだけ 体や地球にやさしい商品がわかるアプリ
皆さんは毎日のお買い物で、どのように商品を選んでいますか? 値段や品質、産地に加えて、添加物などの安全性、遺伝子組み換えのこと、オーガニックや環境のこと、フェアトレードなど生産のこと…。人によって気になることはさまざまですが、世界的にエシカル・コンシューマー(倫理的な消費者)も増え、消費に対する関心・意識は年々高くなっています。
お店で商品を選ぶ時に、ぱっと見てわかる情報は、値段や成分、産地くらいです。成分や認証ラベルを見ても、知らないものもあります。「この添加物って、大丈夫なの?」「これは、環境にやさしい?」などなど、頭の中に「?」が生まれても、その場では情報がわからないことが多いでしょう。
そこで今ヨーロッパで広がっているのが、商品バーコードにスマホをかざすだけで、体や地球に良い商品かどうかがわかるアプリ「コードチェック(CodeCheck)」。食品とコスメに特化したこのアプリは、2014年にスイスで始まりました。これまで主にドイツ語圏(スイス・ドイツ・オーストリア)で展開され、500万回以上ダウンロードされています。需要の高まりから、昨年は英語版も登場。アメリカで試用版がスタートし、今年から本格的に展開される予定です。食品添加物を避けたい人、健康のために糖分や脂肪分を控えたい人、乳製品や大豆などへのアレルギーがある人、ベジタリアン、環境や産地に配慮した商品を買いたい人…、幅広い消費者のニーズに対応しています。
コードチェックには、4000万以上の商品情報が登録されています。アプリでバーコードを読み込むと、成分や産地、認証などの基本データとともに、その商品がどのくらい体や環境に良いか評価が示されます。評価項目は、成分、食品添加物、栄養価、ラクトース(乳糖)やグルテンの有無、ベジタリアン対応か、環境破壊につながるパーム油を使っているか、さまざまな認証の有無など。評価基準は、欧州委員会や政府、WWFやグリーンピースなどの欧米の環境保護団体、消費者団体などのデータや情報を元に作られています。
円グラフで示される総合評価は、緑色が多いほど、体や環境に良いことを意味します。有害性が高いと、赤色が増えます。赤色評価の要因となった成分や理由もわかるため、購入するかどうか判断しやすくなっています。それぞれの成分や認証の詳しい解説もあるので、初心者フレンドリー。また、ユーザーが重視する項目によって、評価基準をカスタマイズすることもできます。自分の基準にあわせて、商品を評価してくれるだけでなく、代替商品も提案してくれます。
地球リポーターの一人でベルリン在住の河内さんは、コードチェックユーザー。「きっかけは、あるコスメを使っていた時に、肌の調子が悪くなったことでした。でも、特に化粧品の成分は、名前を見てもわからないものが多い。コードチェックで商品検索をすると、成分の説明や安全性の評価が出てきました。評価を参考に、それぞれが自分で判断することが、大切かなと思います。店によっては、スマホでスキャンすると不審がられることもあるので、お目当ての商品がある時は、事前にインターネット版で確認したりもしますね」
今後も、より多くの商品情報を網羅するとともに、環境やフェアトレード、動物愛護などの面でも、情報や評価の充実を期待したいところです。コードチェック社のグローバルマーケティング最高責任者のギュンタート氏は、こう話します。「今年は、さらにいろいろな機能を追加する予定です。また、世界中で意識の高い消費者が急激に増えているので、今後はアジアも含めさまざまな地域に進出したいと考えています」
エシカルな買い物を後押しするスマホアプリは、ここ数年世界各地で広がりを見せています。例えば、ドイツの認証ラベル検索アプリ 「NABU Siegel Check」は、商品についた認証ラベルをスマホでスキャンすると、どのような認証なのか詳しく解説してくれます。またファッションブランドのエシカル度チェックアプリ「Good On You」では、環境や人権、動物愛護などの項目で1300以上のファッションブランドを評価。英語版のみですが、世界各国のファッションブランドが集まる日本の消費者にとっても、参考になります。
日本では、一般的な商品評価アプリはあるものの、エシカルなアプリはまだまだこれから。エシカル消費への関心が高まる中、アプリの登場に期待したいですね。まずは、買おうとしているモノやそれを作っている企業が、人や地球に配慮しているのかどうか、試しに自分で調べてみるのもおススメですよ!
日本貿易振興機構(JETRO)に勤務後、フェアトレードファッション・ブランド「People Tree」にて、バングラデシュ・インド・ネパールにおける生産管理に従事。現在は、企業のサステナビリティ推進を支援する「 エコネットワークス」に、コンテンツプロジェクトマネージャーとして参画。ライフワークとして、フェアトレード絵本「ムクリのにじいろTシャツ」を制作したほか、親子向けにフェアトレードを学ぶワークショップを企画する「フェアトレードガーデン世田谷」(本部・東京)の運営に携わる。社会や世界で起きていることを「自分ごと」として感じ、考え、行動する。そんなきっかけになるような記事をお届けしたいと思います。