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2018.06.25 | 宮原 桃子

8月だけのピースキャンプサイトが広島に 世界中の人と平和を語ろう

 

8月6日の平和記念日は、広島のまちに特別な雰囲気が漂います。原爆ドームや平和記念公園の周りは、灯ろう流しに参加するために、世界中から老若男女、国籍も民族も違うさまざまな人びとが集います。夏の夕暮れ時の柔らかい風に吹かれて、そこに重苦しい雰囲気はないのですが、やはり「平和を想う気持ち」が共有されていることを、肌で感じられます。

そんな平和記念日の前後は、広島市内は宿泊施設を予約するのが難しくなります。そこで、この期間だけまちなかに「平和」をコンセプトにするキャンプサイトが現れるのです。その名も、「ヒロシマ ピースキャンプ」。

大学グラウンドにオープンするキャンプサイト

ヒロシマピースキャンプの始まりは、2008年。まだ宿泊施設が不足していた当時、広島市は国内外から集まる人たちを受け入れるため、気軽に泊まれる場所を作ろうと考えたのです。8月4日から8月7日の4日間、中心部から30分ほどの場所にある広島市立大学のグラウンドを開放し、キャンプサイトに。1日150人が収容できる広々とした場所です。企画・運営は、学生や社会人を中心とするボランティアが担い、広島市は財政面や広報などの支援をしています。利用料は、1人1泊200円と格安(テント貸出は、別途1500円/泊)。しかし、このキャンプサイトの最大の魅力は、「平和」をコンセプトにしたプログラムが用意され、多様な人と交流できるところにあります。

ピーストーク風景

 

ゲストによる平和についての講演に、耳を傾ける参加者たち

目玉は、夜の星空の下で、国内外からの宿泊者やボランティアメンバーが、平和について考え語る「ピーストーク」。昨年は、広島平和研究所准教授やセネガルの青年海外協力隊員による講演を行った後、参加者全員で「自分にとっての平和とは」というテーマで語り合ったそう。今年度のヒロシマピースキャンプ代表で、広島修道大学経済科学部3年生の中川聡一郎さんは、昨年の様子をこう語ってくれました。

「ピーストークでは、文化や宗教、暮らしている環境などによって、一人ひとりが考える“平和”の意味は、さまざまだと改めて感じました。ギャングの抗争が絶えないような国から来た参加者もいましたが、そのような環境の中でも、日常の家族の時間に平和を感じると話してくれたのが印象的でした。

屋外の開放的なキャンプサイトで、一緒にご飯を囲みながら話したりすると、人と人の距離はすごく近くなるんです。人と人とがつながりやすい。だからこそ、キャンプで平和を語る場があることは、大きな魅力だと思っています」

約40人のボランティアをまとめる代表の中川さん

ピーストークの他にも、広島の平和スポットや観光地を案内してくれる「まちあるき」プログラムや、8月6日の平和記念式典への参加、外国人宿泊者向けには折り紙や 茶道、書道などの日本文化体験イベントも開催。滞在期間中は、ボランティアメンバーお手製のカレーや丼ものなどを食べることもできます(有料)。

このユニークなキャンプサイトには、スタート以来10年間で600人以上が宿泊しました。外国人宿泊者は2割程度ですが、平和というコンセプトやユニークなプログラム、キャンプサイトで過ごす面白さに惹かれて、多様なバックグラウンドの人びとが集まるそう。

日本文化体験イベント

 

まちあるきでは、平和記念公園も訪れる

中川さんは、ヒロシマピースキャンプが運営ボランティアにもたらすものも大きいと話します。約1年間の準備期間中には、定期的に平和について考えるミーティングを設けています。子どもの頃から平和教育を受けてきた広島出身のメンバーだけでなく、他県出身のメンバーもいて、世代も幅広いため、平和に対する考え方や想いはさまざま。ボランティアに参加する動機も、国際交流や平和、イベント企画など、一人ひとり異なります。多様なメンバーが平和というコンセプトの下で集まり、プログラムの企画から運営までを担うことは、大きな経験になるとともに、平和への考えや価値観も広がるそうです。

ボランティアメンバーと宿泊者たち

 

ヒロシマピースキャンプは、今年も8月4日から8月7日の4日間開催されます。8月5日夜に開催されるピーストークのゲストは、アーティストの黒田征太郎さん。アートを通じて核兵器廃絶を訴える「ピカドンプロジェクト」や、核や戦争をテーマとするイラストや絵本を手がけています。当日は、アートを通じて平和を考えるワークショップを開催予定。また日本文化体験では、縁日も企画されているそうです。

「さまざまな人がともに平和について考え、相手を理解し、多様な考え方に触れることで、一人ひとりが自分の世界を広げ、考えを深められるような場にしたい」と、中川さん。平和な世界を作っていくことは、一見とても壮大なことに思えます。でも結局のところ、私たち一人ひとりが国境や民族などあらゆるボーダーを超えてつながり、違いも共通点も含めてお互いを知り、尊重すること。その積み重ねこそが、平和を作っていくように思います。

ヒロシマピースキャンプは、8月6日という特別な日に、さまざまな人とつながって、平和を考えることができる貴重な場になりそうです。皆さんも、ぜひ参加してみませんか?

ヒロシマピースキャンプ2018のポスター

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宮原 桃子
宮原 桃子(みやはら ももこ) 地球リポーター

日本貿易振興機構(JETRO)に勤務後、フェアトレードファッション・ブランド「People Tree」にて、バングラデシュ・インド・ネパールでの衣服生産を支援する仕事に携わる。ドイツでの子育て生活を経て、帰国後は親子向けにフェアトレードを学ぶワークショップを企画する団体「フェアトレードガーデン世田谷」(本部・東京)を運営。フェアトレード絵本「ムクリのにじいろTシャツ」の筆者。現在は広島に暮らしながら、フェアトレードや環境、平和などのテーマを中心に執筆。 この社会を変えられるのは、私たち一人ひとりです!社会や世界で起きていることを「自分ごと」として感じ、考え、行動する。そんなきっかけになるような記事をお届けしたいと思います。

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