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2026.09.29 | 笹尾 実和子

環境危機時計「9時39分」の警告。私たちのこれからの行動は?

今年の夏は日本だけでなく大雨、洪水、氷河崩壊まで世界中で自然災害が多発し、気候変動の影響を感じざるをえないニュースが連日報道されました。このまま地球環境は悪化していくのだろうか、と不安に思った方も多いのではないでしょうか。

公益財団法人旭硝子財団では、環境問題に関わる世界の有識者にアンケートを実施し、危機意識を0時から12時までの時刻で表した「環境危機時計」を1992年から毎年発表しています。12時に近づくほど、強い危機感を表します。9月8日、35回目となる今年の時刻が日本科学未来館の球体ディスプレイ「ジオ・コスモス」に映し出されました。その時刻は「9時39分」。昨年の9時33分から6分進み、今年も4つのフェーズの中で、一番強い危機感となる「極めて不安」が指し示されました。しかし、同時に発表された日本の15歳から69歳約1300人を対象とした生活者調査の時刻は7時3分で、有識者の9時39分とは2時間以上の開きがありました。もう時間がない、と危機感を持つ専門家と社会の認識には大きなギャップがあるようです。

「ジオ・コスモス」に映し出された「環境危機時計®」 の今年の時刻(写真提供:旭硝子財団)

今回の発表会では、元宇宙飛行士であり日本科学未来館初代館長でもある毛利衛さん、東京大学未来ビジョン研究センター教授の江守正多さん、登山家・タレントの野口絵子さんの3人が登壇し、それぞれの「環境危機時計」の時刻と想いを語りました。野口さんは、父・野口健さんと共に幼い頃から登山をし、ヒマラヤにも通っていました。氷河湖の決壊で知っている村が流されたこともあり、危機感を強く持っている中で今年の8月26日にネパール北部ラスワ郡での大規模な洪水が起こりました。「ヒマラヤでは20年前から氷河の融解について警告されていたのに、防げなかった。悔しいし、本当は未然に防ぎたい。もういよいよだと思う」

生活者調査のアンケート結果では「環境問題は人類の努力で解決できる」と答えた割合は、高校生世代(15~18歳)51%、大人世代(25歳以上)27%。強い危機感を持ちつつ、それでも希望を持って行動しようとしているのは若い世代でした。江守正多さんは「若い人が解決できると思っていることは、大人にとっての希望です。それを聞いて、大人が諦(あきら)めている場合ではない!と思うはず。私が話をする時は危機感と同時に解決策も一緒に説明することを意識しています。ネガティブな情報だけだと聞きたくなくなってしまうので、危機感とこれからどう行動したらいいか、を考えてもらえるように伝えることが大事」だと話してくれました。性別も生まれた年代も違う野口さんと江守さんの「環境危機時計」の時刻は偶然にも同じ8時54分でした。

そして3人の中で一番の年長者である毛利衛さんの時刻は11時34分。毛利さんが初めて宇宙へ行った1992年の人口は55億人。それが今では83億人を超えている状況から「今のような人間らしい暮らしはあと200〜300年しか続かないのではないか」と切迫感を語りつつ、それでも最後は「宇宙から地球をみると、多様な生命の惑星であり、世代をこえて生き延びることができる場所だと感じます。まだ間に合う。諦めてはいない。生き延びましょう」と力強く呼びかけました。


「環境危機時計®」 調査第35回記念 時刻発表会の様子 右から毛利衛さん、江守正多さん、野口絵子さん、旭硝子財団の杉本直樹さん(写真提供:旭硝子財団)

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笹尾 実和子
笹尾 実和子(ささお みわこ) Think the Earth 広報

夏生まれの横浜育ち。新卒で人材派遣の会社に3年勤め、行く先を決めず退社。その後の一人インド旅で全てをリセットし、小さくも面白い会社でインターンを始めたことで仕事観が変わる。そんな中Think the Earthと出会い、ここなら小学校からの夢が叶う!と気持ちひとつで飛び込み入社。現在はひとり広報として奮闘中。話すよりも聞く方が得意。

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