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考える、それは力になる

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イタリア研修プログラム
「プロジェッティスタに学ぶ控えめな創造性」

2024年の春休みに、創造的なサステナブル教育の方法を学びにイタリア・ミラノに行きませんか?というお誘いです! SDGs for Schoolスタッフも参加しますので、現地でお会いしましょう。

誰一人取り残さない社会変革が求められるSDGs時代に必要な「控えめな創造力」の哲学や方法を学ぶ、少人数での研修プログラムです。イタリアを代表するデザイナー、故ブルーノ・ムナーリが遺した創造的教育法「ムナーリ・メソッド」や、ミラノ周辺における実践活動の視察を通じて、倫理性の高い創造性についての教育法や思想を理解し、帰国後に報告会などを通して日本の教育現場に還元することを目指します。

日 程:2024年3月24日(日)〜3月30日(土) 現地集合・現地解散(31日 日本着)

【研修費】 講師料、通訳料、コーディネート費、車両移動費等
費 用:15万円(税込)(実施確定後、事前にご入金をお願いします)

【現地で必要な実費】 宿泊費、食費、鉄道代等
宿泊費:450ユーロ前後(7万円〜8万円程度)=6泊分の宿代
※宿泊については参加人数が確定次第、一括で手配させていただく予定です。※25日〜27日の3泊(教育農場とアレッサンドリア)は主催者側で手配しますが、ミラノとトリノのホテルをご自身で手配されたい方は申し込みの際にお知らせください。
食 費:朝食、昼食、夕食
交通費:列車移動の交通費 ※車両移動は研修費に含まれています。

【航空運賃】
ご自宅からミラノまでの往復航空券・旅行保険等は各自でご手配ください。

募集人数:先着10名で締め切らせていただきます。
※最少催行人数:6名様以上のお申し込みで実施が決定します。
※最少催行人員に達したため、研修の実施は決定しました。
※先着10名に達したため受付を終了しました。

対 象:創造性教育やサステナビリティ教育に関心のある方/教育に関心がある方であれば教員でなくても参加歓迎です

事前学習:出発前(12月〜2月頃)に数回の事前学習会を行いたいと思っています。Zoom会議(オンライン)にて実施予定。参加者の決定後に予定調整のご連絡をいたします。

講 師:多木陽介(批評家、アーティスト)/シルヴァーナ・スペラーティ(ブルーノ・ムナーリ協会会長)/ファビオ・スカルトゥリッティ(アレッサンドリア市「地区の家」代表)/ジャンフランコ・カヴァリア(建築家、トリノ工科大学名誉教授)/パトリツィア・ゼルビ(カルトゥージア出版代表)

プログラム主旨

社会変革を目的とするSDGs達成のために求められる創造性溢れる変革行動の担い手育成は、ESD(持続可能な開発のための教育)における重要なテーマですが、今の創造性教育とESDには乖離があります。

今回のプログラムにおいて重要なテーマである「控えめな創造力=Humble Creativity」は、環境や文明の破壊につながるような創造性とは一線を画し、イタリアで1950年代に生まれた「プロジェッタツィオーネ」という、倫理性や社会貢献性を前提とする創造行為の中からローマ在住の作家・批評家の多木陽介氏が読み取ってきたものです。「デザイン」には大量生産、大量消費を助長する工業デザインのイメージがつきまとうのに対して、プロジェッタツィオーネは、より社会奉仕的で倫理的な側面を強くもつ概念です。多くの事例を取材し執筆活動を続けてきた多木さんは、このプロジェッタツィオーネこそ現代の世界が必要としている創造力のモデルだと考えています。その想いについては、事前学習も含めて、道中で多木さんが折々にインプットしてくれると思います。

ムナーリ・メソッドについて

本研修の前半のハイライトはムナーリ・メソッドを学ぶ2日間の研修です。「ブルーノ・ムナーリ(1907-1998)は、芸術家、デザイナーとしての豊富なキャリアを経たあと、晩年になってから、子どもが創造を通して学ぶメソッドを発表し、その後の約20年を子どもたちの教育のために費やしました。かつての愛弟子で現在ブルーノ・ムナーリ協会の会長であるシルヴァーナ・スペラーティ氏によると、ムナーリ自身、なによりも後世にこのメソッドが伝え残されて行くことを願っていたそうで、「ムナーリ・メソッドによるワークショップこそ、ムナーリの最も重要な作品だといっても過言ではない」というほど、ムナーリにとっても大切なプログラムでした。このメソッドを通じて学べるのは、プロジェッタツィオーネの考え方、方法論そのものの基本です。

ブルーノ・ムナーリは著書『ファンタジア』で「ある人がクリエイティブな人間になるか、あるいは単なる記号の反復者になるかは、教育者にかかっている」と述べています。反復者ばかりを育てているように見える日本の教育者にはちょっと耳が痛い言葉かもしれません。創造的な子どもが育つためには、創造性について熟知した教育者の存在が欠かせないのです。

ムナーリ・メソッドは子どもだけでなく、中高生や大人に対しても「持続可能な社会の創り手」としての判断力を育む新たな教育手法につながる潜在力をもっています。日本の教育者が、このメソッドに出会い、シルヴァーナ・スペラーティ氏や多木陽介氏とディスカッションすることで、持続可能な社会に向けての新たな創造性教育の可能性が拓かれることを期待しています。

控えめな創造力 を訪ねる

後半は「控えめな創造力」の実践者たちの活動を各地に訪ね「プロジェッタツィオーネ」の多様な側面を知る旅です。

カヴァリア・スタジオ(トリノ)
トリノにあるジャンフランコ・カヴァリア氏のスタジオを訪ね「プロジェッティスタ」「控えめな創造力」に関する授業を受けます。カヴァリア氏は故アッキレ・カスティリオーニ氏とも親交の深かった建築家でもあり、スタジオ自体が「控えめな創造力」の知恵に満ちた空間になっています。

ラボラトリオ・ザンザーラ(トリノ)
グラフィックデザイナーが指揮をとりつつ、十八人の知的障害者が数人のスタッフと共に、共同作業を通して製品を製造しています。そこでは、障害者が単に単純作業をしているのではなく、発想や文字など、全ての創造の種は障害者たちからきており、それをグラフィックやオブジェの作品として作り上げ、工房の一角のショップで売っています。「障害者が作ったものだから」という口実は絶対に出さず、尊厳のある美しいものを製作しています。

地区の家(アレッサンドリア)
アレッサンドリア市の旧市街地にあるボルゴ・ロヴェレート地区の「地区の家」の代表であるファビオ・スカルトゥリッティ氏の案内で、同地区にある「地区の家」を訪問します。スカルトゥリッティ氏は、貧困層、麻薬中毒患者等の社会的弱者を救うことで有名だった故ドン・ガッロ神父がジェノヴァに創設したサン・ベネデット・アル・ポルト協会のリーダーの一人です。ほかにもポルト・イデー(ファブラボ、コワーキングスペース、学生の自主運営自習室などを備えた施設)、障害者や元囚人の雇用先でもあるソーシャルレストラン、地産地消の野菜を使い、移民も雇用するエシカル・ビーガン・カフェ、極めて低価格で売ってくれるリサイクルショップ(貧困層のためだが、施し物をせずに、購買という形で相手の尊厳をリスペクトする形式を考えた)、移民の就労支援組織、などを訪問し、多数のソーシャルな活動組織がネットワークを結んで協働している様子を視察します。サン・ベネデット・アル・ポルト協会の仕事は、地区の家の中で完結しておらず、低所得者用住宅の世話、人身売買の対象とされていた移民の女性を救出して就労支援を行う、町中のホームレスの世話をしてまわるなど、ありとあらゆる形で社会的弱者の保護、及び自立支援の活動をしています。

カルトゥージア社(ミラノ)
創設30年を越え、イタリアではかなり著名な児童書の出版社カルトゥージア社は、大手の出版社の多くが外国の成功作を翻訳出版するのとは正反対に、全ての作品を自社のプロジェクトとして製作しています。たとえば児童心理の専門家や親子も交えた独自のワークショップを準備段階で行い、イタリアの社会、そしてそこで生きる子どもたちの現実、彼らの遭遇する諸問題に根ざした本作りをしています。代表のパトリツィア・ゼルビ氏にお話を伺います。

プログラム(予定)

※トリノ滞在日変更/モンテベッロ・デッラ・バッタリア2泊が1泊ミラノに変更

3月24日(日)

ミラノ

◆集合 ミラノ 19:00頃 集合 夕食

◆夕食をとりながら自己紹介、翌日からのプログラムの説明
(多木陽介さんから)
◉ミラノ泊

3月25日(月)

ミラノ→(列車移動)→ヴォゲーラ→(車両移動)→教育農場

研修/ワークショップ
◆午前:教育農場に移動
ブルーノ・ムナーリについて、控えめな創造性についてなど基本的なレクチャー
(講師:シルヴァーナ・スペラーティ 通訳・講師:多木陽介)

◆午後:たとえば「記号/筆致(sign)」のワークショップなど
※ワークショップの内容は参加者の適性などを考慮して柔軟に組み立てます
(講師:シルヴァーナ・スペラーティ 通訳:多木陽介)

◆夕食後 シルヴァーナさんと歓談
◉モンテベッロ・デッラ・バッタリア泊

3月26日(火)

教育農場→ (列車移動) →ミラノ

研修/ワークショップ
◆終日:たとえば「自然観察」のワークショップなど
※ワークショップの内容は参加者の適性などを考慮して柔軟に組み立てます
(講師:シルヴァーナ・スペラーティ 通訳:多木陽介)

◆ミラノへ移動
◉ミラノ泊

3月27日(水)

ミラノ→ 早朝(列車移動)→トリノ

研修
◆早朝 トリノに移動しラボラトリオ・ザンザーラ 訪問
(講師:ジャンルカ・カンニッツォ 通訳:多木陽介)
視察
◆午後 カヴァリア・スタジオを訪問
(講師:ジャンフランコ・カヴァリア 通訳:多木陽介)
◉トリノ泊

3月28日(水)

トリノ→(列車移動)→アレッサンドリア

視察
◆午前 アレッサンドリアへ移動
アレッサンドリア市の「地区の家」及びその他のソーシャルな機能を持った施設を視察
(コーディネート:ファビオ・スカルトゥリッティ 通訳:多木陽介)
◉アレッサンドリア泊

3月29日(金)

アレッサンドリア→(列車移動)→ミラノ

視察
◆午前 ミラノに移動
◆午後 カルトゥージア社(児童書出版社)
(講師:パトリツィア・ゼルビ 通訳:多木陽介)
◉ミラノ泊

3月30日(土)

帰国(解散)

◆各自帰国(31日日本着)、もしくは滞在延長など自由に

※上記のプログラムやテーマ、内容、順番は変更する場合があります。(天災などによる)不可抗力な事由により研修内容を変更する場合があります。予めご了承ください。

申し込み後の流れ

STEP1 実施可能な参加者数に達した段階で、プログラム実施決定のお知らせをメールでお送りします。
STEP2 ご自宅からミラノまでの往復航空券を各自でご手配をお願いします。
STEP3 研修費を期日までに指定の口座にご入金ください。    
STEP4 オンラインでの事前勉強会を行いますので日程調整のご連絡を差し上げます。
STEP5 事前勉強会(オンライン) 講師:多木陽介 12月〜2月初旬
STEP6 現地集合:あらかじめ指定の場所、時間をお知らせしますので、各自で集合してください。
STEP7 プログラムに参加(ホテル代、食事代等は現地で精算予定です)
STEP8 現地解散

キャンセルについて
※一旦お支払いいただきました参加費は天災や疫病等、不測の事態によりプログラム自体が中止になった場合を除き返金はいたしません。ご了承ください。
※プログラムが中止になった場合は別途ご連絡いたします。

諸注意
本プログラムは、現地集合・現地解散の研修プログラムです。ミラノまでの往復航空券や旅行保険の手配などは各自でお願いします。ミラノとトリノの宿泊についてはご自身で手配いただくことも可能です。航空券手配について旅行会社のご紹介も可能です。お申し込みの際にご希望をお知らせください。

講師の紹介

多木陽介(たき ようすけ)(批評家/アーティスト)

1988年に渡伊、現在ローマ在住。演劇活動や写真を中心とした展覧会を各地で催す経験を経て、現在は多様な次元の環境(自然環境、社会環境、精神環境)においてエコロジーを進める人々を扱った研究「優しき生の耕人たち」を展開。芸術活動、文化的主題の展覧会のキュレーション及びデザイン、また講演、そして執筆と、多様な方法で、生命をすべての中心においた、人間の活動の哲学を探究。著書に『アキッレ・カスティリオーニ:自由の探求としてのデザイン』『(不)可視の監獄:サミュエル・ベケットの芸術と歴史』、『控えめな創造力』 (近刊予定)、プロジェッティスタたちの言葉を四十五本集めた『語録』(近刊予定)がある。

参考:Think the Earth 地球ヴィジョン
「プロジェッタツィオーネに学ぶサステナブルな創造力」(多木陽介)

シルヴァーナ・スペラーティ(ブルーノ・ムナーリ協会 会長)

ブルーノ・ムナーリ・メソッドの教育者、トレーナー。ブルーノ・ムナーリの直弟子であり、共同研究者。自然の中で創造的なデザイン思考を実践する教育農場を実現。20年以上、公立学校でこのメソッドを実践してきた。ワークショップの企画・運営、教則本の執筆、文化イベントのコーディネートなどを行っている。NHK「奇跡のレッスン」の講師としても知られている。

ジャンルカ・カンニッツォ(ラボラトリオ・ザンザーラ)

イラストレーター、グラフィックデザイナー。ラボラトリオ・ザンザーラの創設者の一人。
ラボラトリオ・ザンザーラ(1998〜)知的障害者とグラフィックデザイナー、ソーシャルワーカーたちが協働し、質の高い製品を製作、販売している場所で、教育機関であり、グラフィックを中心とするコミュニケーションのエージェンシーでもある。この組織の特徴は、就労が困難な障害者たちに機会を与えて単純な作業に従事させる他の多くの就労施設とは違って、創造の種となる部分がしばしば障害者側に託されている点にあり、障害のある人とない人が全く隔たりなく関わり協働する一つのモデルを提供している。

ジャンフランコ・カヴァリア(建築家、トリノ工科大学名誉教授)

1945年イタリア・トリノ生まれ。1971年トリノ工科大学建築学部を卒業後、1972年に設計事務所を設立。30年間にわたり展覧会の会場構成を中心に多数のプロジェクトにおいてアキッレ・カスティリオーニと協働。物のデザインから展示空間の構成、建築、都市計画的なプロジェクトまで、幅広い活動を展開。著書には研究者として山村のサステナブルな生活技術および建築技術について記したアンドレア・ボッコとの共著『石造りのように柔軟な』(鹿島出版社)がある。

ファビオ・スカルトゥリッティ(アレッサンドリア市「地区の家」代表)

貧困層、麻薬中毒患者等の社会的弱者を救うことで有名だった故ドン・ガッロ神父の創設したサン・ベネデット・アル・ポルト協会のリーダーの一人で、アレッサンドリア市の旧市街地にあるボルゴ・ロヴェレート地区の「地区の家」の代表。アレッサンドリアでは彼らの協会を中心に、ファブラボ、コワーキングスペース、低所得者用住宅の世話、ソーシャルレストラン、移民の就労支援組織等、多数のソーシャルな活動組織がネットワークを結んで協働している。

パトリツィア・ゼルビ(カルトウージア社 社長)

ボローニャ大学のDAMS(美術・音楽・演劇学科)で学び、1978年にフィレンツェでファタトラック出版社を設立。10年後、ミラノに子どもと青少年のための出版社カルトゥージア・エディツィオーニを設立。これまでに約400冊の本を出版した。

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